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【1分解説】大学破綻時の学生保護とは?

谷口 智明

  音声解説

もし大学が経営破綻したら、在籍する学生はどうなってしまうのでしょうか。2023年2月、文部科学省中央教育審議会大学分科会より「学修者本位の大学教育の実現に向けた今後の振興方策について(審議まとめ)」が公表されました。そこで検討課題の1つとして取り上げられたのが「学生保護の仕組みの整備」です。

背景にあるのは18歳人口の減少です。同人口は、直近ピーク(1993年)の205万人から2021年には114万人と大きく減少する一方、大学・短大数は、1106校から1118校と増加しています。極めて急速な少子化の進行により、さらなる18歳人口の減少は避けられない状況にあり、定員割れの私立大学も増加傾向にあります。

そこで、大学が経営破綻した際の学生の教育機会確保の在り方等について、同審議会で検討されることとなりました。但し、今回のまとめでは、そうした仕組みの整備に関する論点及び検討の方向性は示されたものの具体的な結論には至っていません。学びのセーフティネットとして、今後、国において、本まとめの方向性に基づき具体的な検討に着手することが求められます。例えば、金融機関の破綻については、預金者や保険契約者保護の仕組み等が整備されてきました。学生保護の仕組みも社会問題化する前に法制化しておくことが急務といえます。

この解説は2023年4月時点の情報に基づいたものです。

谷口 智明


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