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内外経済ウォッチ『日本~24年度も旺盛な設備投資計画~』(2024年6月号)

永濱 利廣

2024度の企業収益は増収減益の見通しが多いが、設備投資の計画は旺盛だ。

1~3月期の法人企業景気予測調査の24年度設備投資計画を見ると、収益計画が増収減益となる中、GDP統計の設備投資の概念に最も近い「ソフトウェアを含む設備投資額(除く土地投資額)」は全産業合計で前年度比+7.5%と、23年度計画(同+9.3%)に引き続き高い伸びだ。日本銀行の3月短観の設備投資計画でも、企業収益計画が増収減益となる中、全規模合計で24年度当初計画にもかかわらず前年比+5.8%と、高い伸びとなった23年度の当初計画を上回る伸びとなっている。

日銀短観結果から独自試算すると、24年のGDP統計での名目設備投資額は108.0兆円にまで拡大する計算だ。これが実現すれば、これまで最高だったバブル末期の1991年度の102.7兆円を32年ぶりに上回って設備投資額は史上最高を更新することになる。春闘が33年ぶりの高い賃上げ率になるなど、日本経済の潮目の変化を感じさせる動きは他にもあるが、設備投資にもようやく新たな潮流が起きている気配だ。

成長会計に基づけば、これまでは有形・無形の固定資産の蓄積が停滞することで、資本投入量や全要素生産性が低迷することになり、日本経済の潜在成長率は低いままだった。

このため逆説的に考えれば、経済全体や企業それぞれの成長期待が高まることによって設備投資が拡大すれば、生産性が高まる一方、投資による新製品やサービスが生まれ需要拡大により賃金も上がり、経済成長の好循環によって長期停滞から抜け出す原動力になる可能性がある。

設備投資計画が大幅に増加している背景として、米中対立先鋭化など、地政学的リスクの拡大による経済安全保障重視などのマクロ環境の変化や、気候変動やデジタル化といった人類や社会の課題解決が求められていることがある。そして政府はこうした大規模・長期の設備投資の支援をすべく、さまざまな国内投資促進のパッケージ策を打ち出している。

国内投資促進パッケージは「分野別の戦略投資促進」「横断的な取り組み」「グローバル市場を見据えた取り組み」の三つの柱で構成されている。

第一の柱となる「分野別の戦略投資促進」では5部門で構成されており、第一部門は「GX推進戦略による官民投資促進」として「成長志向型カーボンプライシング・規制制度による投資促進策」「GX経済移行債による投資促進策」「省・再エネ」となっている。第二部門は「DX・経済安全保障・フロンティア」として「半導体・AI・量子」「経済安全保障・フロンティア」、第三部門は「産業インフラ」や「物流」、第四部門は「観光・文化・コンテンツ」、第五部門は「ヘルスケア」である。

続いて、第二の柱の「横断的な取り組み」では、特定分野に限らない投資促進策となっている。第一部門は「人への投資」として「賃上げ所得向上」「人的投資・人材競争力の強化」が掲げられ、賃上げ優遇税制の強化やリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業等が含まれる。第二部門は「中堅・中小企業、スタートアップ等」が掲げられ、中堅企業の成長促進に向けた産業競争力強化法の見直しなどが目玉となっている。そして第三部門は「研究開発イノベーション」が掲げられており、イノベーション拠点税制の創設等が含まれている。

第三の柱となる「グローバル市場を見据えた取り組み」は、資産運用立国の実現や対内直接投資・輸出の促進等が掲げられ、三つの柱合計で11府省庁にまたがる200強の国内投資促進策(うち税制16施策、規制・制度18施策)が掲げられている。

そして、24年度以降、設備投資を拡大継続させて2027年度に115兆円超の目標を実現することで、成長型経済への移行を目指している。

永濱 利廣


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

永濱 利廣

ながはま としひろ

経済調査部 首席エコノミスト
担当: 内外経済市場長期予測、経済統計、マクロ経済分析

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