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2022.05.02
アジア経済
新型コロナ(経済)
中国経済
内外経済ウォッチ『アジア・新興国~2022年の中国経済の出だしは躓いた模様~』(2022年5月号)
西濵 徹
今年の中国は、秋の共産党大会で習近平指導部が異例の3期目入りを目指すなど政治的に重要な時期を迎えている。3月に開催された全人代においても、財政及び金融政策の強化を通じて景気下支えを図り、習近平指導部が掲げる『共同富裕』の実現を目指す方針を示すなど、経済の安定を優先することが改めて強調された。一昨年来のコロナ禍を巡っては、中国は当初における感染拡大の中心地となるとともに深刻な景気減速に見舞われたが、当局の『ゼロ・コロナ』戦略を通じた封じ込めも追い風に、マクロ面では比較的早期に克服が進んだ。しかし、当局はその後も『ゼロ・コロナ』戦略を堅持しており、共産党大会に向けてコロナ禍の『制圧』を目指しているとみられるが、昨年以降も散発的に感染が再拡大する動きが確認され、局所的にロックダウンが実施される展開が続いた。
当局の『ゼロ・コロナ』戦略は経済活動の足かせになり景気に冷や水を浴びせるとともに、雇用回復の遅れは家計部門の重石となるなど、ミクロ面では景気回復の恩恵が届きにくい状況が続いている。こうしたなか、主要都市において感染動向が急速に悪化しており、ロックダウンの動きが広がりをみせている。このようにコロナ禍の影響が再燃する一方、当局による『ゼロ・コロナ』戦略に伴う行動制限は幅広く企業マインドに悪影響を与える動きが確認されるなど、中国経済の雲行きは急速に怪しさを増している。

世界経済との連動性が高い3月の財新製造業PMIは48.1と前月(50.4)から▲2.3pt低下して2ヶ月ぶりに50を下回る水準となった。足下の生産動向のみならず、内・外需双方で受注動向に下押し圧力が掛かっていることが示された。また、ウクライナ問題の激化による原油や穀物をはじめとする国際商品市況の上昇は調達価格の上振れを招く一方、商品価格への事実上の転嫁禁止は企業収益の足かせとなる動きもみられる。このようにマイナス材料は山積しているものの、人手不足や物流の混乱を受けて雇用は拡大しており、人海戦術に動いた可能性がある。ただし、こうした雇用拡大の動きは持続的なものとなるかは極めて不透明な状況にあると考えられる。
1-3月を均してみると、製造業やサービス業のマインド統計はコロナ禍からの回復局面で最も低い水準となるなど、足下の景気は総じて弱含んでいると捉えることが出来る。中国当局は政策総動員による景気下支えを図る姿勢をみせており、政策対応の強化に動く可能性は高いと見込まれるが、経済成長率目標(5.5%前後)の実現のハードルは決して低くないのが実情である。1-3月の景気の躓きが懸念される状況はそのハードルを一段と高くしているとみられる一方、過度な政策支援は再び債務問題や経済格差などの問題に注目が集まる要因となるなど、政策運営は困難な展開が続くことが避けられないであろう。

西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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阿原 健一郎

