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米国経済マンスリー:2026年7月

~ガソリン価格の再上昇懸念~

前田 和馬

要旨
  • アトランタ連銀のGDPNowに基づくと、2026年4~6月期の実質GDP成長率(7月30日公表)は前期比年率+1.7%(1~3月期:+2.1%)と前期から小幅に減速するものの、個人消費は減税効果や株価持ち直しによる資産効果を背景に底堅く推移した可能性が高い。

  • 足下の原油価格を前提とすれば、7~9月期の個人消費はガソリン価格の鎮静化が実質賃金を改善させ底堅く推移すると見込まれる。一方、減税効果が徐々に剥落すると見込まれること、及び株価の乱高下による消費者マインドの停滞懸念は、消費を抑制するリスクがある。

  • 6月CPIではガソリン価格の下落が総合インフレ率を押し下げたほか、エネルギー以外も弱い動きとなるなど、家賃の鈍化や高関税の価格転嫁一服がインフレ改善へと繋がっている。ただ、原油価格が再び100ドル/バレルを超える水準へと達する場合、総合インフレ率の再加速が鮮明となるほか、エネルギー高による二次的な物価への波及が懸念される。

図表
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【経済指標】

6月全米供給管理協会(ISM)景況感指数

6月ISM製造業PMIは53.3(5月:54.0)と4か月振りに前月から低下したものの、6か月連続で好不況の節目となる50を上回った。原油高による負の影響に言及する声が多いものの、現時点における企業マインドへの影響は限定的に留まっている。内訳をみると、生産は52.2(54.3)、生産活動に先行する新規受注は56.0(56.8)とそれぞれ低下した。一方、雇用は49.7(48.6)と上昇し節目となる50に接近するなど、回復の兆しを示している。また、入荷遅延は57.4(60.6)と中東情勢を巡るサプライチェーン混乱の影響がやや緩和した一方、支払価格は73.0(82.1)と大幅に低下したものの依然高水準を保っている。企業コメントでは「イラン紛争はあらゆるカテゴリーの原材料価格に影響を与えている(化学)」や「中東紛争による継続的な圧力は設備投資へのより保守的なスタンスへ繋がっている(コンピュータ・電子部品)」と中東情勢による悪影響を指摘する声が散見される。また、設備投資を巡っては「防衛関連や半導体製造向けの機械需要は非常に力強い一方、産業や医療分野の顧客の動きは鈍く、新製品の購入よりも改修や更新を優先する傾向にある(機械)」と、産業間格差を指摘する声がみられる。

他方、6月ISM非製造業PMIは54.0(54.5)と2か月振りに低下したものの、好不況の節目となる50を上回り続けるなど、底堅く推移している。内訳をみると、事業活動が55.4(57.7)、新規受注は55.1(57.3)と共に低下した。一方、雇用は51.2(47.9)と上昇し4か月振りに50を上回った。他方、入荷遅延は54.4(55.2)と2か月連続で低下するなど、製造業と同様、中東情勢を巡るサプライチェーン混乱にやや緩和の兆しがみられる。企業コメントでは「(中東混乱による物価高騰の)影響を感じているが、そのピークは7~9月期だろう(宿泊・飲食サービス)」と物価高騰への言及がみられる一方、「インフレ持続の向かい風にもかかわらず、患者数と事業活動は好調を保っている(医療・社会福祉)」や「現在及び将来の受注状況は堅調。ただ、素材価格が上がり、データセンター配管を支える一部部品の納期の遅れがみられる(建設業)」と供給制約はありながらも、総じて楽観的な見方が多い(詳細は「米国:不確実性下の前倒し発注が指数を下支え(6月ISM製造業)」及び「米国:非製造業は小幅鈍化も堅調な国内需要が下支え(6月ISM)」)。

6月雇用統計

6月雇用統計における非農業部門雇用者数は前月差+5.7万人(5月:+12.9万人)と、市場予想(+11.3万人)を下回った。加えて、同時に公表された4月実績は-3.1万人、5月は-4.3万人とそれぞれ下方修正された。この結果、3か月移動平均では+11.1万人(+16.4万人)と前月から減速したものの、均してみれば2026年初から雇用の持ち直しが続いている。

6月の雇用者数を業種別にみると、医療・社会福祉は前月差+4.66万人(5月:+4.59万人)と高齢化を背景に拡大が続いている。また、専門・企業サービスは+3.6万人(+1.1万人)と人材派遣サービス等を中心に増加した。他方、建設業は+1.1万人(+0.6万人)とデータセンター建設需要を背景に前月水準を上回った。一方、製造業は+0.3万人(-0.2万人)と小幅な増加に留まった。金属加工等の耐久消費財が6か月連続で増加した一方、非耐久財は3か月連続で低下するなど低迷が続いている。また、娯楽・宿泊は-6.1万人(+4.0万人)、小売業は-0.75万人(+0.82万人)と、前月の反動もありそれぞれ減少した。他方、政府部門は+0.8万人(+3.2万人)と小幅に増加した。2025年に本格化したトランプ政権による連邦政府職員の削減には一服感がみられる。

この間、6月の労働参加率は61.5%(5月:61.8%)と前月から低下した。他方、失業率は4.2%(4.3%)と、労働参加の減少もあり前月水準を下回った。また、週平均労働時間は前年比+0.3%(+0.3%)と上昇した一方、平均時給は+3.5%(+3.4%)と小幅に加速した。この結果、労働所得(=民間雇用者数×平均労働時間×平均時給)は+4.4%(+4.2%)と、賃金上昇を背景に増加基調で推移している。他方、CPI上昇率を控除した実質賃金は時間当たりで+0.1%(-0.8%)、週当たりでも+0.3%(-0.5%)と、ガソリン価格低下を背景にそれぞれ3か月振りにプラスへ転じた(詳細は「米国:雇用者数が減速も失業率は低下(26年6月雇用統計)」)。

6月消費者物価指数(CPI)

6月消費者物価指数(CPI)は前月比-0.4%(5月:+0.5%)と、前月から大幅に低下し、市場予想(-0.1%)を下回った。足下のトレンドを示す3か月前比年率でみると、総合指数が+2.8%(5月:+8.2%)と大幅に減速したほか、コア指数も+2.3%(+3.2%)とインフレに改善の兆しが示された。

6月の内訳を見ると、エネルギーが-5.7%(+3.9%)とガソリン価格の下落を背景に5か月振りに低下し全体を押し下げた。一方、食品は前月比+0.2%(+0.2%)と前月から伸び率に変化がなかった。肉類や乳製品が上昇した一方、野菜・果物や飲料は低下した。この間、食品・エネルギーを除くコアベース指数は0.0%(+0.2%)と前月から横ばい圏で推移した。コアCPIの内訳を見ると、住居費は+0.1%(+0.3%)と新規家賃の減速を背景に前月から鈍化した。また、住居費を除くコアCPIは-0.1%(+0.1%)と前月から低下した。コア財は-0.1%(-0.1%)とアパレルや家電を中心に低下するなど、高関税による価格転嫁に一服感がみられる。他方、サービスに関しても医療サービスや輸送サービスが下落した。

先行きのCPIを巡って、EIA公表の7月の平均ガソリン価格は前月から小幅に低下すると見込まれ、7月における総合インフレの上昇率は抑制される可能性が高い。一方、コアベース指数を巡っては、高関税による価格転嫁が落ち着くなか、原油高による燃料費や輸送費の上昇がエネルギー以外の品目に波及するかが注目される。なお、労働需給緩和による賃金上昇率の安定は、サービス価格を中心としたインフレ減速要因であることに変化はない(詳細は「米国:コアインフレも想定外のマイナス(26年6月CPI)」)。

6月小売売上高

6月小売売上高は前月比+0.2%(5月:+1.0%)と5か月連続で増加した。また、GDP算出に用いられるコア小売売上高(自動車・ガソリン・建設材・飲食サービスを除くコントロール・グループ)も+0.5%(+0.8%)と6か月連続で増加するなど、消費は底堅さを保っている。内訳をみると、無店舗小売が+1.9%(+1.4%)と6か月連続で増加したほか、家電は+0.8%(-0.2%)と税還付の効果もあり拡大基調にある。また、自動車は+1.9%(+1.1%)と2か月連続で前月水準を上回った。一方、ガソリンは-5.3%(+2.6%)と価格下落を背景に5か月振りに低下した。他方、衣料品は-0.3%(+0.9%)と高関税を背景とした価格上昇もあり、一進一退の推移となっている。4~6月期で通してみると、コア小売売上高は前期比+2.2%(+1.4%)とガソリン高による名目ベースの押上げもあり加速した。先行きに関して、ガソリン価格の鎮静化を背景に6月の実質賃金は再びプラスへ転じており、家計の所得環境改善が緩やかな消費拡大をけん引すると見込まれる(詳細は「米国:小売売上高は単月で鈍化も基調は強まった(26年6月)」)。

6月鉱工業生産

6月鉱工業生産は前月比+0.1%(5月:+0.1%)と小幅ながら3か月連続で上昇した。内訳を見ると、鉱業は+0.4%(+1.1%)と原油高を背景に石油・ガス採掘が活発化したため3か月連続で上昇した。一方、公益は+0.4%(-0.7%)と同月の高気温を背景に上昇した。また、製造業は0.0%(+0.1%)と前月から横ばい圏で推移するなど、持ち直しの動きが続いている。製造業の内訳を見ると、自動車・同部品は+0.7%(+1.8%)と3か月連続で上昇したほか、コンピュータ・電子製品は+0.1%(+0.8%)と6か月連続で上昇するなど、AI関連需要を背景に拡大が続いている。また、石油・石炭製品は+2.1%(-1.5%)とこれまでの反動もあり3か月ぶりに上昇した。一方、化学は-0.2%(-0.6%)と3か月連続で低下するなど軟調に推移した。また、一般機械が-0.7%(+0.4%)、非金属製品が-0.6%(+1.4%)とそれぞれ前月水準を下回った。先行きに関して、緩やかな持ち直しが持続すると予想するものの、その動向は米イランの戦闘終結によるサプライチェーン正常化の行方、及びAI関連需要の持続性に大きく依存するだろう(詳細は「米国:中東緊迫の反動で6月鉱工業生産は下振れ」)。

6月住宅着工

6月住宅着工は年率142.7万戸(5月:119.9万戸)と大幅に増加した(前月比+19.0%;5月:同-15.2%)。ただ、均してみれば横ばい圏の推移となるなど、住宅着工はローン金利の高止まりを背景に回復は鈍い。6月の内訳を見ると、集合住宅が+76.2%(5月:-39.6%)と前月の反動もあり南部や中西部で大幅に増加し、全体を押し上げた。一方、戸建住宅は前月比-0.2%(-1.9%)と小幅ながら3か月連続で前月水準を下回った。この間、住宅着工に先行する住宅建設許可件数は年率136.7万戸(141.0万戸)と2か月連続で減少するなど、停滞が持続している。先行きの住宅市場に関して、これまでの買い控えからの反動が現れる可能性があるものの、移民抑制による労働力不足(供給不足)等が回復を抑制する懸念に警戒が必要だろう。また、住宅ローン金利はFRBによる累積的な利下げを通じてピーク時からは低下したものの、中長期的には高水準にあるため、需要刺激効果は緩やかに留まると見込まれる(詳細は「米国:大幅増も基調は弱いまま(26年6月住宅着工)」)。

【経済見通し】

先行きの米国経済は緩やかな回復軌道を保つと予想する。アトランタ連銀のGDPNow(7月17日時点)によると、2026年4~6月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.7%(1~3月期:+2.1%)と前期から小幅に減速すると見込まれる。個人消費は物価高による下押しを受けながらも、減税法案の効果発現や雇用持ち直し、株高による資産効果を背景にプラス成長を維持した可能性が高い。また、設備投資はAI関連需要によるソフトウェア開発やデータセンターへの投資がけん引するだろう。

今後の注目点は雇用動向、イラン情勢、AI投資の3点だろう。

まず、年初来の雇用には持ち直しの兆しがみられており、こうした傾向が今後も持続するかが注目される。雇用者数を産業別にみると、医療・介護産業が高齢化を背景に雇用全体を押し上げる構図が続く一方、データセンター需要を背景に建設業や専門・技術サービスで拡大傾向にある。この間、5月の有効求人倍率(=求人数÷失業者数)は1.04(4月:1.03)と2か月連続で1倍を上回るなど、失業率が急騰する懸念はやや後退している。なお、2025年における雇用鈍化と失業率の低位安定には移民制限が大きく影響したとみられてきた(労働供給と需要の双方の減速)。足下で失業率が概ね横ばいのなかで雇用が改善していることは、移民が労働市場に回帰し始めたために労働供給が増えている可能性を示唆するかもしれない。

次に、イラン戦争を通じたガソリン価格の動向と消費への影響だ。4~6月期はガソリン価格の急騰が実質賃金を押し下げた一方、減税法案による税還付や株価持ち直しによる資産効果が押し上げ要因となり、結果的に消費は堅調さを保った。先行き7~9月期におけるこれらの要因を巡っては、まず、①原油価格(WTI)が1バレル当たり70~80ドル台前半での推移となる場合、米イラン戦争以前よりは高い水準となるものの、その消費抑制効果は4~6月期と比べれば緩やかに留まるだろう。一方、原油価格が100ドルを超える場合、再び実質賃金が大幅なマイナスへと転じる可能性が高まる。こうした状況下において、②減税法案の税還付は4~5月に集中したため、今後は押し上げ効果が徐々に剥落すると見込まれるほか、③7月中旬までの株式市場は半導体関連銘柄を中心に調整の動きがみられるなど、資産効果は期待しづらい。加えて、個人貯蓄率は足下で低下傾向にあるなど、実質賃金が減少する環境において家計が消費を拡大する余地は乏しい。このため、原油価格とガソリン価格の再上昇は個人消費を抑制する最大の懸念となるだろう。なお、11月に中間選挙を控えるなか、トランプ政権は原油価格の再上昇を抑制したい意向が強いとみられるものの、イラン攻撃で米軍の被害が拡大するなど、中東情勢を巡る不透明感は強い。

最後に、米国経済の先行きを占う上では旺盛なAI関連需要の持続性が焦点となる。1~3月期実質GDPでは設備投資が大幅に増加し、特に情報通信機械やソフトウェアの押し上げが顕著であった。また、データセンター建設投資は拡大が続いており、5月時点では建設支出の8.0%を占めるまで上昇している。一方、AI投資の持続性を巡っては、膨大な設備投資の収益性への懸念が指摘される。また、消費者の電気代高騰への懸念が強まるなかでの電力確保、或いは建設に際しての電気技師の不足といった供給制約は投資スピートを抑制する要因となる。加えて、AI開発や提供プレイヤーの事業縮小や集約などを通じて、投資が急激に調整する可能性にも警戒が必要だろう。なお、AI需要が調整する場合には設備投資への影響のみならず、AI・半導体関連銘柄の株価が軟調に推移するといった逆資産効果を通じて、個人消費にも悪影響を及ぼす懸念が強い。

図表
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【金融政策】

7月地区連銀経済報告

7月地区連銀経済報告(7/15公表;7/6までの情報に基づく)では「経済活動は12地区中11地区で小幅から緩やかに拡大した」とまとめられた。また、「雇用は総じて増加し、5地区で控えめから堅調に拡大、7地区で変化なし」と指摘されるなど、景気・雇用判断は前回6月報告から概ね据え置かれた。一方、物価動向を巡っては「前回報告と比べて、物価の伸びは全地区において変化がないか、鈍化した」とまとめられるなど、ガソリン価格の鎮静化による総合インフレの鈍化が示唆された。個別のコメントでは「ワールドカップにも支えられ、消費者支出は小幅に拡大した。しかし、多くの消費者は価格感応度が高まっている(ボストン連銀)」と消費のまだら模様が指摘された。また、「電子技師不足により、データセンタープロジェクトが遅れている(フィラデルフィア連銀)」とAI需要に対する供給懸念のコメントもみられた。

ウォーシュFRB議長の議会証言

7月14~15日、ウォーシュFRB議長は議会証言にて「FOMCメンバーはインフレ高止まりを容認しない」と述べ、高金利政策の維持、或いは必要ならば利上げに踏み切る可能性を示唆した。また、14日公表の消費者物価指数が予想を下振れたことを巡っては、「任務達成とは考えない」と強調するなど、単月のデータのみならず、物価の基調や多様な経済指標を注視する姿勢を示した。一方、AI需要による一時的な価格変化は「必ずしもインフレ的ではない」と述べたほか、AI普及が生産性と賃金を将来的に押し上げるとの見解を示した。

6月FOMC声明文におけるフォワードガイダンス(FG)の削除に関して、「先入観と一致する情報だけを受け入れ、そうでない情報を排除するような」FGは適切ではないと主張した。他方、5つのタスクフォースを通じたFRB改革で透明性が低下するとの指摘に対しては、「現行の枠組みが高インフレに繋がった」と改革の必要性を強調したうえで、調査結果は一般に公表されるため「何も秘密裡には進まない」と主張した。また、バランスシート政策を巡っては「(18年を要したバランスシート拡大を)一晩で変更することはできない」や「いかなる変更も実施にはかなりの時間を要する」と述べるなど、拙速なバランスシート縮小の可能性を否定した(詳細は「ウォーシュFRB議長、初の議会証言で物価抑制へ不退転の決意」)。

FRB改革に向けたタスクフォース責任者の発表

7月9日、FRBは政策運営方針の改革を見据えた5つのタスクフォースに関して、それぞれの責任者と目的を公表した。声明では「FRBスタッフの支援を受け、タスクフォースは独立して活動し、証拠に基づいて判断し、率直な意見を提供し、FOMCのために厳密な分析結果を取りまとめることを任務とする」と述べられた。コミュニケーション部会は「不確実な状況下で、政策審議や決定をどのように伝達するか検証」することを目指すとし、2人の中銀総裁経験者(フラガ元ブラジル中銀総裁とキング元BOE総裁)を含む3名が責任者に任命された。一方、バランスシート政策部会では「バランスシート制度のコスト、メリット、および制度上の影響を検証」するとし、FRB理事を経験したスタイン氏やインド中銀総裁を務めたラジャン氏などの3名が責任者に就く。他方、インフレ枠組み部会では「インフレの要因をどのように理解し、対応しているかを再検討」するとし、責任者に著名マクロ経済学者のマンキュー氏、ノーベル経済学賞を受賞したサージェント氏、BISビューで知られるホワイト氏の3名が就任した(詳細は「FRBがタスクフォースの責任者を発表」)。

FRB高官発言

図表
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【トランプ政権】

米イランの戦闘激化

6月17日に米国とイランは戦闘終結に向けた覚書に署名したものの、その後も断続的に両軍の攻撃が生じるなど、軍事衝突が拡大する懸念が強まっている。7月10日、トランプ大統領は「停戦が終わった」と述べたほか、13日にはイランへの海上封鎖を再開し、ホルムズ海峡を通過する全ての船舶に対して貨物額の20%に相当する通行料を徴収する方針を示した(ただ、翌日には通行料を撤回)。また、イランによる攻撃で米軍の被害が拡大するなか、20日にトランプ大統領は大規模な報復措置に踏み切る可能性を示唆した。一方、イランも18日に「覚書の履行停止」を表明したほか、20日には親イラン武装組織のフーシ派がサウジアラビアに対する紅海での海上封鎖を宣言するなど、ホルムズ海峡以外の代替的な石油輸送ルートに対する懸念も強まっている。この間、WTI原油スポットは7月6日に69.6ドル/バレルを底とし、7月20日には84.4ドルまで上昇している。

カナダへの50%追加関税を公表

7月20日、トランプ米大統領はカナダからの輸入品に8月19日から50%の追加関税を課す大統領令に署名した。トランプ政権は関税発動の理由として「カナダが自動車・同部品、乳製品、アルコールの輸入を巡って、米国を他国よりも不利に扱っている」と指摘している。同関税措置は1930年関税法(スムート・ホーリー法)338条に基づく。同法では米国が差別的な待遇を受けている場合、大統領の判断で最大50%の追加関税を課すことができる。ただ、これまでの発動例はなく、今後その妥当性を巡り法廷闘争へと発展する可能性がある。なお、今回の追加関税対象は約200億ドルと全輸入の0.6%、対カナダ輸入の5.2%にそれぞれ留まる。米国全体の実効関税率への影響は0.3%pt前後と試算されるなど、米国経済への影響は総じて限定的と見込まれる(詳細は「米国が対カナダ関税50%を発表」)。

中間選挙

トランプ政権の支持率は就任から低迷が続いている。この背景として、これまでの物価高止まり等の「アフォーダビリティ(生活のゆとり)」に対する米国民の不満のほか、イラン戦争とガソリン高による景気先行きへの懸念が指摘できる。とはいえ、米イランの戦闘終結合意後の原油価格はピークを過ぎており、ガソリン価格の高騰が幾分鎮静化するのであれば、トランプ政権の支持率は多少改善することが見込まれる。

11月中間選挙を巡る賭け市場Polymarketの予測をみると、連邦下院では民主党が勝利する確率が8割前後で推移している。中間選挙は政権与党への逆風となることが多く、物価高への根強い不満も踏まえると、共和党は接戦選挙区で苦戦を強いられるとの見方が強い。なお、下院では恣意的な選挙区割り(ゲリマンダー)が一部の州で実施されており、各党の目論見通りとなる場合、中間選挙では共和党がテキサスを中心に最大16議席、民主党がカリフォルニアを中心に最大5議席をそれぞれ増やす効果を持つ(6月4日付けNBCニュースの報道)。

一方、上院は改選議席(35)に共和党寄りの州が多く、勝利予想はやや共和党優勢に傾いている。民主党は接戦であるメイン・ミシガン・オハイオ・アラスカの4州の選挙区で全て勝利しなければ、上院の過半数には達しない。また、メイン州上院選挙を巡っては、7月8日に民主党候補のプラトナー氏が過去の性的暴行疑惑を理由に出馬辞退を表明した。民主党は7月25日の党大会で新候補を選定する予定だが、こうした民主党の混乱は現職の上院議員で共和党候補のコリンズ氏に有利に働く可能性が高い。

図表
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以 上

前田 和馬


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

前田 和馬

まえだ かずま

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 米国経済、世界経済、経済構造分析

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