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2026.07.21
米国経済
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米国が対カナダ関税50%を発表
~関税対象はカナダからの輸入の約5%~
前田 和馬
7月20日、トランプ米大統領はカナダからの輸入品に50%の追加関税を課す大統領令に署名した。トランプ政権は関税発動の理由として、「カナダが自動車・同部品、乳製品、アルコールの輸入を巡って、米国を他国よりも不利に扱っている」と指摘している。
関税発動は8月19日であり、対象はワインやホッケースティックなど約200億ドル分の輸入に相当する。これまでカナダやメキシコへの追加関税はUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に準拠した製品が対象から除外されてきた一方、今回の関税ではこうした措置が実施されない。ただ、エネルギーや重要鉱物、232条関税(品目別関税)の対象品目などは除外される。
同関税措置は1930年関税法(スムート・ホーリー法)338条に基づく。同法では米国が差別的な待遇を受けている場合、大統領の判断で最大50%の追加関税を課すことが可能だ。対処する課題は301条関税(不公正な貿易慣行に対処する関税措置;トランプ政権は同法に基づく強制労働を巡る関税の発動を検討)と似ているものの、338条関税では事前調査が不要であり、関税公表(大統領布告)から30日後に発動が可能となる。ただ、これまで338条関税が実際に発動された例はなく、実際に発動される場合、その妥当性を巡り法廷闘争へと発展する可能性が高い。
7月以降、米国・カナダ間の貿易を巡る緊張は高まっていた。7月1日、トランプ政権はUSMCAの延長で合意に達しなかったと公表した。USMCAは3か国が延長に合意できない場合に2036年で失効するため、今後も自動車の原産地規則の引上げ等を巡り継続協議するかたちとなっている。ただ、米国とメキシコが2国間協議を既に実施している一方、米国とカナダの間では正式な交渉が始まっていない。また、7月17日にトランプ大統領はカナダの山火事による煙が米北東部へ及んでいることを巡り、カナダの森林管理が不十分として追加関税を課す可能性を示唆していた。
2025年の米国の輸入総額は3.4兆ドル、このうち対カナダ輸入は3,830億ドルと全体の11.2%に達する。一方、今回の追加関税対象は約200億ドルと全輸入の0.6%、対カナダ輸入の5.2%にそれぞれ留まる。米国全体の実効関税率への影響は0.3%pt前後と試算されるなど、米国経済への影響は総じて限定的に留まろう。また、発動まで30日間の猶予があるため、今後の2国間の協議で発動が見送られる、或いは対象品目や税率が変更される可能性があるなど、不透明感が残る。
前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

