米国:大幅増も基調は弱いまま(26年6月住宅着工)

~許可件数は金利高やコスト高を背景に先行きの不透明感が継続~

桂畑 誠治

目次

1.住宅着工は集合住宅主導で急反発

26年6月の住宅着工件数(季節調整済、年率換算)は142.7万戸となり、前月比+19.0%(前月:119.9万戸、同▲15.2%)と急反発した。これは、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の131.0万戸(同+11.2%)を大幅に上回る結果である。なお、4、5月分は過去データが計4.6万戸上方修正された。

内訳をみると、着工の基調を示す「一戸建て住宅着工件数」が89.5万戸、前月比▲0.2%(前月:89.7万戸、同▲1.9%)と減少トレンドが継続した。背景には、販売の伸び悩み、資材コストの高騰、労働力不足といった構造的な制約が根強く存在している。一方、月次での変動が激しい「集合住宅着工件数」は53.2万戸、前月比+76.2%(前月:30.2万戸、同▲39.6%)と急増し、全体の押し上げに寄与した。

これらは、慢性的な既存住宅の在庫不足に加え、州政府による用途地域規制の緩和を受けた集合住宅プロジェクトの進展や、空室率の低い北東部での堅調な需要に加えて、前月に金利上昇や悪天候によって一時的に落ち込んだ反動もあって、急増したと判断される。月次でのボラティリティは高まっているものの、これまでの過剰供給(在庫)の調整局面を経て、先行きの需要を睨みながら底固めを探る動きといえる。地域別では、中西部が大幅に増加したほか、最大市場である南部、北東部、西部も堅調に推移した。

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2.許可件数はコスト増への強い警戒感から先行きの不透明感が継続

着工の先行指標となる6月の住宅建設許可件数(季節調整済、年率換算)は136.7万戸、前月比▲3.0%(前月:141.0万戸、同▲0.9%)となり、着工件数の大幅増とは対照的に小幅な低下となった。なお、4、5月分は計0.3万戸下方修正されている。

内訳をみると、一戸建てが87.1万戸、同▲2.4%(前月:89.2万戸、同+1.2%)と減少に転じた。一方、変動の激しい集合住宅が49.6万戸、同▲4.2%(前月:51.8万戸、同▲4.4%)と続落したものの、前々月の急増からの反動調整は限定的な範囲にとどまった。建設業者は先行きに対する慎重姿勢を崩しておらず、特に一戸建ての鈍化が響き、許可件数全体としては底這い推移の域を出ていない。地域別では、北東部と中西部で許可件数が増加した一方、南部、西部は減少となった。

3.住宅市場は不確実性の高まりや高金利を背景に停滞感が漂う

現在の住宅建設を取り巻く環境には、不確実性の高まりや高金利を背景に停滞感が漂っている。金利の高止まりや価格上昇に伴う販売鈍化で在庫が増加していることに加え、トランプ政権による関税賦課や不法移民取り締まり強化を巡る懸念が、建設コストの増大や需要減退のリスクとして強く意識されている。こうした下振れリスクを背景に、建設業者は新規着工に対して慎重なスタンスを維持している。

4.先行きは底堅い需要と供給制約が相克

26年の住宅販売は、住宅ローン金利の限定的な低下や実質所得の拡大、建設業者による販促策(金利引き下げ特約の提供など)に支えられ、小幅な増加が見込まれる。しかし、トランプ関税による資材価格の上昇懸念や、移民規制強化に伴う労働力不足・人件費高騰が、供給側の強い下押し圧力となる。建設業者の慎重な見方は維持される可能性が高く、26年の一戸建て住宅着工件数は前年比+1%程度(25年前年比▲1.1%)の僅かな拡大にとどまる見通しである。

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桂畑 誠治


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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