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- 都区部版・日銀基調的インフレ率の試算(2025/4)
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家賃上昇の影響で加速
以前のレポートで試算した①東京都区部版の基調的インフレ率3指標、②日銀が賃金から物価への波及度合いを分析する際に利用した低変動品目CPIについて、本日公表の4月都区部CPIを用いて計算した。
計算値をみると、刈込平均値(全国ウェイト換算)は3月:+2.6%→4月:+2.8%、加重中央値(全国ウェイト換算)は3月:+1.2%→4月:+1.6%、最頻値は3月:+1.8%→4月:+1.5%(いずれも前年比)となった。また、全国版の低変動品目CPIは2月:+1.2%→3月:+1.2%、都区部では3月:+1.8%→4月:+2.1%となった。全般的に加速感のみられる結果であり、加重中央値と低変動品目物価がそれぞれ急加速している点が目立つ。双方に影響しているのは家賃の加速である(民営家賃の伸びは3月:+1.1%→4月:+1.8%)。年度変わりのタイミングで家賃の引き上げが増えたことが背景だろう。なお、家賃の上昇率は都区部と全国のデータで乖離が大きくなっており、3月全国CPIの民営家賃は+0.4%にとどまる。都区部の上昇を踏まえると4月の全国CPIの家賃も加速が予想されるが、「東京主導で他は限定的」の構図は大きくは変わらないとみられる。日本銀行がこれをどう捉えるか、は今後一つの論点になってくるかもしれない。
都区部の加速は「東京主導の家賃上昇」で誇張されている部分があるものの、全般的に物価上昇圧力はしっかりしていることを示す結果であることも確かだ。一方、目下のトランプ関税の実体経済への影響、円高、資源安など、先を見据えると物価の明確な下方圧力となる要素が増えており、植田総裁も関税の影響を注視する姿勢を示している。双方のバランスを見極める観点で、日銀の金融政策はしばらく様子見姿勢を続けることになりそうだ。

星野 卓也
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。