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2026.01.23
日本経済
物価
物価指標(日本)
消費者物価指数(全国・2025年12月)
~26年2~3月に2%割れへ。4月以降は円安による食料品価格上振れリスクも~
新家 義貴

大幅鈍化も、前年の裏要因が大きい
本日総務省から発表された25年12月の全国消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年比+2.4%となった。前月の+3.0%から上昇率が大幅に縮小しているが、市場予想通りの結果でありサプライズはない。前月からの鈍化の要因としては、①昨年12月に補助終了の影響で上昇していた裏が出たことで、電気・ガス代が下落に転じたこと(電気・ガス代の前年比寄与度:11月+0.19%Pt→12月▲0.13%Pt)、②ガソリン補助金の段階的拡充(ガソリンの前年比寄与度:11月▲0.02%Pt→12月▲0.16%Pt)、③食料品価格の伸び鈍化(生鮮除く食料品の前年比寄与度:11月+1.77%Pt→12月+1.70%Pt)、などが挙げられる。この3つで前月と比較して▲0.53%Ptの押し下げとなっており、今月のCPIコアの伸び鈍化(▲0.60%Pt)分のほとんどを説明できる。①と②は政策要因(+前年の裏)、③はこれまでのトレンド継続であり、物価の基調に変化が生じているといった内容ではない。先に公表されていた東京都区部の結果とも大きく異なる点はなく、意外感のない結果である。
なお、エネルギー以外のコアコア部分については、日銀版コア(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)が前年比+2.9%(11月:+3.0%)、米国型コア(食料及びエネルギー除く総合)が前年比+1.5%(11月:+1.6%)と、それぞれ前月から僅かに鈍化している。日銀版コアは食料品価格の鈍化の影響で緩やかな鈍化傾向にある。米国型コアも今月はやや鈍化したものの、これまで狭いレンジで非常に安定した推移が続いていることを考えると、単月の振れと考えるのが妥当だろう。
前年の裏要因で電気・ガス代が下落。補助復活で2~4月は大幅押し下げへ
電気・ガス代は下落に転じた(前年比寄与度:11月+0.19%Pt→12月▲0.13%Pt)。これは、昨年12月に電気・ガス代補助金の終了により電気・ガス代が大きく上昇していたことの裏が出た影響が大きい(12月分の前月比は▲0.1%と小幅低下にとどまる)。
なお、政府は26年1~3月(CPIへの反映は2~4月分)に電気・ガス代補助を復活させている(25年も同じ時期に実施)。補助の規模はかなり大きく、補助実施による押し下げ寄与は26年2、3月に▲0.6~▲0.7%Pt、4月に▲0.2%Pt程度とみられる(詳しくは(改定版)電気代・ガス代補助金の家計、物価への影響 ~旧暫定税率廃止と合わせ、CPIコアを瞬間風速で▲0.8~▲0.9%Pt下押しか~ | 新家 義貴 | 第一生命経済研究所)。このことが、26年2~3月のCPIコア2%割れに寄与するだろう。
ガソリン価格は前年比▲7.1%と、11月の▲0.9%から下落幅が大きく拡大した(前年比寄与度:11月▲0.02%Pt → 12月▲0.16%Pt)。ガソリンの旧暫定税率廃止に向けて、ガソリン補助金が段階的に拡充されたことが影響している。
12月の食料品(生鮮除く)は前年比+6.7%(前年比寄与度:+1.70%Pt)と前月の+7.0%(同寄与度:+1.77%Pt)から鈍化した。引き続き非常に高い伸びだが、前年比でみればピークアウト感が出ている状況は変わらない。なお、食料品(生鮮除く)を前月比でみると▲0.1%と23年12月以来のマイナスに転じている。10月に価格引き上げが積極的に実施されたこともあり、11、12月と値上げがやや一服している印象を受ける。
エネルギー以外のコアコア部分については、前述のとおり日銀版コア、米国型コアともやや鈍化した。日銀版コアは食料品価格鈍化によるところが大きい。米国型コアについてはこれまで通り前年比+1%台半ばでの安定的な推移が続いていると見て良いだろう。
26年2~3月は+2%割れの可能性大だが、円安進展で4月以降は不透明感大
先行きのCPIコアも鈍化が見込まれる。食料品において昨年の上昇率が高かったことの裏が出ることが今後も下押し要因となることに加え、前述のとおり電気・ガス代補助金の実施によって下押しされることが大きい。26年2~3月にCPIコアは前年比+2%を下回る可能性が高い。こうした物価の鈍化が実質賃金のプラス転化に寄与する見込みだ。
一方、懸念されるのが円安による物価上振れリスクである。前述のとおり、25年10月の値上げラッシュの後、11月以降は食品値上げに一服感も出ているが、足元の円安進行は今後の値上げの格好の材料となり得る。かつてと異なり企業が値上げをためらわなくなっている現在、円安を理由として価格転嫁を積極化させ、値上げが再び加速する可能性も十分あるだろう。特に年度替わりである4月は要注意だ。その場合、食料品価格の鈍化ペースが想定よりも緩やかなものにとどまり、CPIが思うように鈍化しないという展開も十分ありうるだろう。電気・ガス代補助の額が大きいこともあり、26年2、3月のCPIコア+2%割れの可能性は高そうだが、補助が縮小・終了に向かう4月以降については不透明感が残る状況である。4月に値上げが前年以上に積極化する場合、再び+2%台に戻る展開も考えられる。

新家 義貴
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 新家 義貴
しんけ よしき
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経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測
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