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2026.01.30
日本経済
金融政策・日銀
物価
都区部版・日銀基調的インフレ率の試算(2026/01)
~落ち着きをみせる基調的物価群~
星野 卓也

全般的に伸びは縮小傾向にある
以前のレポートで試算した①東京都区部版の基調的インフレ率3指標、②日銀が賃金から物価への波及度合いを分析する際に利用した低変動品目CPIについて、本日公表の1月都区部CPIを用いて計算した。
計算値をみると、刈込平均値(全国ウェイト換算)は2025年12月:+2.0%→2026年1月:+1.9%、加重中央値(全国ウェイト換算)は12月:+1.3%→1月:+1.3%、最頻値は12月:+1.3%→1月:+1.3%(いずれも前年比)となった。また、全国版の低変動品目CPIは11月:+1.4%→12月:+1.4%、都区部では12月:+1.8%→1月:+1.6%となった。
1月は刈込平均値の伸びがさらに縮小するなど、全般的に基調的物価群の上昇率縮小がみられた。特に、都区部版の低変動物価は昨年夏ごろをピークに縮小傾向が続いている。全国版と比較すると東京都区部で上昇している家賃の影響で都区部版の上昇率は全国版より高くなっているが、方向感としては縮小傾向だ。また、全国版・都区部版の加重中央値に開きが出ており、先週に日銀が公表した全国CPIの加重中央値は11月+1.3%→12月+0.8%と伸びを急縮小した一方、都区部版では1月時点でも+1.3%だ。これは都区部CPIにおける家賃の伸び率が高く、またウェイトも大きい点が影響している。全般的に物価上昇圧力の落ち着きを示唆する内容であるといえよう。
日本銀行が示す「基調的物価」は①本稿でも推計しているような実際物価における物価上昇圧力の裾野の広さや②家計や企業などの予想インフレ率を包括したものであると考えられる。これまでは広範な食料インフレなどの影響で①が高く、②が低い状態にあったが、足元では高市政権発足後の予想インフレ率上昇と食料インフレの落ち着きによって、②が高まる一方、①には落ち着きがみられる。日銀がどちらをより重視しているかは判然としないが、実際物価の落ち着きは次の利上げ判断までの余裕を生む要素となろう。

(参考文献)
星野(2023)「東京都区部版・日銀基調的インフレ率の試算」第一生命経済研究所 Economic Trends
星野(2024)「日銀の「第二の力」指標を再現してみた」第一生命経済研究所 Economic Trends
川本・中浜・法眼(2015)「消費者物価コア指標とその特性 — 景気変動との関係を中心に —」日銀レビュー・シリーズ、15-J-11
白塚(2015)「消費者物価コア指標のパフォーマンスについて」日銀レビュー・シリーズ、15-J-12
尾崎・神保・八木・吉井(2024)「賃金・物価の相互連関を巡る最近の状況について」日銀レビュー 2024-J-2
星野 卓也
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。