2021・2022年度日本経済見通し(2021年12月)(2021年7-9月期GDP2次速報後改定)

新家 義貴

最新の見通しは、2022・2023年度日本経済見通し(2022年2月)をご覧下さい。

要旨

日本・国内総生産(GDP)成長率予測値

2021年度予測  実質+2.8%  (前回 +2.8%)
          名目+1.9% (前回 +1.9%)

2022年度予測  実質+2.9%  (前回 +2.9%)
          名目+3.3% (前回 +3.3%)

※前回は2021年11月15日時点の弊社予測値

  • 実質GDP成長率の見通しは、21年度が+2.8%(21年11月時点予測:+2.8%)、22年度が+2.9%(同+2.9%)である。暦年では2021年が+1.6%(同+1.8%)、2022年が+3.0%(同+3.1%)となる。

  • 7-9月期の大幅マイナス成長をもたらした新型コロナウイルスの感染急拡大、自動車の供給制約という二つの要因については、ともに状況が改善している。感染者数が急減し、緊急事態宣言も解除されたことで人出が急速に戻っており、個人消費は明確なリバウンドが予想される。自動車の大幅減産をもたらした部品調達難についても問題は解消の目処がたち、自動車生産は急速に持ち直す可能性が高い。21年10-12月期は前期比年率+6.9%、22年1-3月期は同+5.1%と高成長が実現すると予想する。

  • その先についても、抑制されてきたサービス消費の持ち直しが期待でき、22年度の成長率は+2.9%と高い伸びが予想される。GDPの水準(季節調整値)でみれば、新型コロナウイルス感染拡大直前である19年10-12月期の水準を取り戻すのは22年1-3月期、消費税率引き上げ前の19年7-9月期の水準を取り戻すのは22年10-12月期と想定している。

  • 今回の予測値は、新型コロナウイルスの再度の感染急拡大が回避され、緊急事態宣言も発令されないことを前提として作成している。オミクロン株については、重症化率や既存のワクチンの有効性など、まだ分かっていない点は多いが、仮に今後感染が拡大し再度の行動制限強化に追い込まれる場合には、経済への悪影響は大きなものとなり、予測値を大きく下振れるリスクがある。また、感染拡大がサプライチェーンの目詰まりを引き起こせば、再び供給制約の問題が生産活動の重しになる可能性もある。先行き不透明感は極めて強い状況だ。

日本経済予測総括表
日本経済予測総括表

図 表 実 質GDPの見 通し(四半期別推移)
図 表 実 質GDPの見 通し(四半期別推移)

【実質GDP成長率の予測(前期比年率、寄与度)】
【実質GDP成長率の予測(前期比年率、寄与度)】

新家 義貴


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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