ECBはPEPPの買い入れを1.5倍に

~買い入れ加速も昨年央のペースには届かず~

田中 理

  • 買い入れペースの大幅加速を決定後、ECBは年明け後の平均から1.5倍のペースでPEPPを購入。やや誇大広告の感もあるが、このままの買い入れペースを続ければ、来年1月末には現在の買い入れ枠を使い切る。何れかの段階でさらなる買い入れ増額と延長が検討される可能性がある。

ECBは11日に終わった理事会で向こう3ヶ月のパンデミック緊急資産買い入れ(PEPP)の大幅な買い入れ加速を決定した。翌週初に発表された週次の買い入れ額には、決定以前の数字が部分的に含まれていたため、買い入れペースがどの程度加速したかを正確に把握することが難しかった。22日に発表された最新データでは、初めて1週間を通して増額決定後の買い入れ額が確認できる。それによれば、15~19日の週のPEPPのネット買い入れ額は210億ユーロと、年明け以降の週当たりの平均買い入れ額(前週を除いて139億ユーロ)から約1.5倍に増加したが、昨年5~6月にかけて買い入れを加速した際の平均(283億ユーロ)には届かなかった(図)。“大幅加速”と呼ぶにはやや力不足の感もあるが、今後もこのペースで買い入れを続ければ、来年1月末には現在の買い入れ枠(1兆8500億ユーロ)を使い切る計算となる。ECBは四半期毎のスタッフ見通しの発表に合わせて、PEPPの買い入れペースを決定するとしている。今回の買い入れ増額は、このところの金利上昇に伴う金融環境の引き締まりを緩和するための措置だが、今後ユーロ圏でワクチン接種が一段と進み(接種の遅れと変異種の感染拡大が足元では不安視されているが)、来年3月末の買い入れ期限が近づくに連れ、金利には上昇圧力が及びやすい状況が続くことになる。拙速な買い入れペースの縮小は難しく、何れかの段階でさらなる買い入れ増額と延長が検討される可能性がある。

(図)ECB資金購入額の推移(週次残高の前週差)
(図)ECB資金購入額の推移(週次残高の前週差)

以上

田中 理

田中 理

たなか おさむ

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 欧州・米国経済

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