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【1分解説】退職所得控除とは?

永原 僚子

  音声解説

退職所得控除とは退職金を一時金で受け取る場合の非課税枠です。退職金は老後を支える大きな柱であるため、税金面で大きく優遇されています。退職所得控除額は勤続年数によって決まり、勤続年数が長くなるほど枠が大きくなります。

勤続20年以下は「40万円 × 勤続年数」で計算され、80万円に満たない場合は80万円になります。20年超では「800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)」となります。例えば勤続30年の場合ですと、800万円+70万円×(30年-20年)となり、一時金で受け取る退職金額が1500万円までなら税金はかかりません。勤続年数の1年未満の端数日数は四捨五入ではなく、すべて1年に切り上げます。

一時金で受け取る退職金額が退職所得控除額を超えた場合は、退職金額から退職所得控除額を引き、2分の1を掛けた金額が住民税と所得税の課税対象額となります。同一年中に2か所以上から退職金を受け取るときなどは計算式が異なりますので、詳細については国税庁HPでご確認ください。

なお、首相の諮問機関である政府税制調査会では、「成長分野への労働移動の円滑化」名目で、長期勤続者に対する優遇措置の縮小として退職所得控除の見直しが検討されています。現時点では具体的な改定案は示されていませんが、今後退職所得控除額が減額される可能性がありますので、これからの動向に注意が必要です。

この解説は2023年8月時点の情報に基づいたものです。

永原 僚子


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。