暮らしの視点(18) :コロナ下の成人式

~問い直された記念日のあり方・迎え方~

北村 安樹子

目次

1.減少する新成人

今月10日、新型コロナウイルスの感染が拡がって以来、2度目となる成人の日を迎えた。総務省の「人口推計」によれば、昨年1年間(2021年1月~12月)に新たに成人に達した人口(2022年1月1日現在の20歳の人口)は前年比4万人減の120万人で、推計が開始された1968年以来、最低の水準となった(注1)。新成人人口が200万人を超えていた第1次ベビーブーム世代(1947年~49年生まれの人)や、第2次ベビーブーム世代(1971年~1974年生まれの人)に比べ、昨年新たに成人となった世代の人口は大幅に減少している。

新型コロナウイルスの感染拡大は、成人式の開催方法や延期・中止等をめぐる判断を、地域が多様な形で見直す動きにつながってきた。このことは、成人式のあり方とともに、個人や地域がその日をどう迎えるのかについて、より多くの人が考える機会になった面があったのではないか。

2.コロナ下の成人式

昨年の成人式をめぐっては、感染拡大等を背景に、記念式典や関連行事の会場開催を中止・延期した地域もみられた。今年は基本的な感染予防対策を行い、企画内容や開催方法を工夫するなどして会場開催を決めた地域が多く、感染者が急増した地域等で中止・延期の動きもあったものの、「成人の日」を含む3連休には各地で様々な形の記念行事が行われた(注2)。

時代とともに成人式の対象となる若者が減少していることや、感染拡大の状況によって延期・中止を含む開催方法の変更が直前まで行われる可能性がある状況は、準備・参加のためのスケジュール調整や会場・機材・着物等の準備など、現実的な対処が必要になる関係者に様々な思いを抱かせたと考えられる。欠席した人や開催日程・方法の変更を経験した人を含めて、当事者である若者が、成人式の迎え方をあらためて考えることにもつながっただろう。家族をはじめ、若者が成人になることを祝いたいと考える人や、成人式の開催やその準備等に携わる関係者にも、感染状況や開催・延期の判断を様々な思いで見守った人が多かったのではないか。

3.問い直された記念日のあり方・迎え方

これまで、成人になる年齢である成年年齢は20歳とされてきたが、民法の一部を改正する法律の施行にともなって、2022年4月1日からは18歳に引下げられる。ただ、昨年12月時点で法務省が行った調査によると、回答した全国の市区町村のうち、4月以降も成人式の対象年齢は「年度中に20歳に達する人」とする地域が9割を超える(注3)。コロナ禍による延期・中止等の影響で、昨年以降は例年より後の時期に開催した地域や、4月以降は対象年齢を18歳とする地域も一部あるものの、現時点では20歳を対象とする予定とした地域が多くなっている。その理由をみると、参加のしやすさにかかわる理由が上位にあげられているほか、過去に行った調査で希望者が多かったこと、進学や就職などの経験を経てから迎える方がよいといった理由も一定の割合を占める(注4)。様々な理由からは、成人式をめぐっては、地域によって多様な考え方があることがうかがえる。

国民の祝日に関する法律によれば、「成人の日」は「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日とされる。成人式やその関連行事は、成人になる若者をフォーマルに祝う場であると同時に、若者が同世代の多様な生き方にふれる機会にもなってきた。若者が減少する地域も多いなか、コロナ禍を通じて成人式のあり方が様々な形で模索されたことは、若者が成人になる節目の記念日を個人や地域がどのように迎えるのかを、さまざまな角度からあらためて問い直したのではないだろうか。

【注釈】
1)総務省「統計トピックスNo.130「寅(とら)年生まれ」と「新成人」の人口~令和4年 新年にちなんで~(「人口推計」から)」。
2)昨年、会場開催を中止・延期し、オンライン配信等で代替した地域もあった一都三県では、今年はそのほとんどが、開催方法を工夫するなどして会場での開催を行った。一方、成人の日の前日にあたる1月9日からまん延防止等重点措置が実施された広島・山口・沖縄の一部地域をはじめ、今年も会場開催を中止・延期した地域もあった。
3)「成年年齢引下げ後の成人式の実施に関するフォローアップ調査」2022年1月。なお、成人式は、年度内に20歳に達する人を対象に、1月の成人の日前後に行う地域が多いが、詳細は地域によって異なる。
4)具体的には、「18歳の1月に実施すると、受験と重なり、出席者が減少するから」(72.6%)、「18歳で成人式を実施すると、実行委員会の活動時期と受験などの準備期間が重なり、新成人らが実行委員会に参加することが難しくなるから」(40.4%)、「対象者が集まりやすいから」(39.0%)、「過去に希望を調査したところ、20歳又は21歳で実施することを希望する者が多かったから」(37.7%)、「進学や就職から少し時間をおいて成人式を実施することにより、様々な経験を友人と共有することができるから」(29.5%)、「飲酒や喫煙ができる年齢である20歳に合わせるべきだから」(25.5%)、「民法の成年年齢と成人式の対象年齢は必ずしも一致させる必要がないから」(24.8%)、「18歳を対象とすると、地元の旧友と再会する場としての意味合いが失われるから」(21.3%)、「現状を変える必要がないから」(19.5%)、「18歳で成人式を実施すると対象者が多くなり、会場の確保が困難となるから」(13.2%)、「その他」(11.0%)、「18歳で成人式を実施すると、服装を着物から制服にする人が増え、和装文化に触れる機会が少なくなるから」(3.1%)など。

北村 安樹子

北村 安樹子

きたむら あきこ

ライフデザイン研究部 主任研究員
専⾨分野: 家族、ライフコース

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