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2025.10.21
日本経済
日本経済見通し
金融政策・日銀
内外経済ウォッチ『日本~9月日銀短観から見た25年度業績見通し~』(2025年11月号)
永濱 利廣
製造業の加工業種で経常利益下方修正
10月1~2日にかけて公表された9月日銀短観の大企業調査は、8月下旬~9月下旬にかけて資本金10億円以上の企業約1700社に対して行った調査であり、先月公表された法人企業景気予測調査に続いて、今期業績予想の先行指標として注目される。
そこで、9月短観の調査対象大企業(全産業、除く金融)が計画する半期別売上高は、25年度に上期・下期とも6月調査対比(以下同じ)で若干下方修正となっている。
一方、経常利益を見ると、年度全体で見れば25年度は+0.3%ほど上方修正になっている。しかし、業種別に着目すれば、製造業の加工業種だけ下方修正となっている。これはやはり、同業種は輸出関連産業が多いことから、トランプ関税が影響していることが予想される。
しかし裏を返せば、産業全体で見れば、売上高の半期ごとの伸び率は前年比で若干の下方修正にとどまる一方で、経常利益については製造業のうち加工業種以外は上方修正になっているということである。
売上高上方修正は「対個人サービス」「繊維」「情報サービス」
続いて、9月短観の売上高計画を基に、大幅上方修正が見込まれる業種を選定してみたい。25年度の業種別売上高計画の前年比と修正率を見ると、25年度は「物品賃貸」「その他情報通信」「電気・ガス」「鉱・採石・砂利採取」「石油・石炭製品」「鉄鋼」「非鉄金属」を除く多くの業種で増収計画となる中で、最大の上方修正率となっているのが「対個人サービス」である。それに「繊維」「情報サービス」が続く。
まず「対個人サービス」については、「医療、福祉」や「教育、学習支援業」の一部などが含まれる。このため、人件費上昇などに伴うサービス価格の引き上げが上方修正の後ろ盾になっている可能性がある。また「繊維」では、半導体材料の需要回復が影響している可能性が示唆される。一方、「情報サービス」では、今回の9月短観でも25年度の中小製造業企業におけるソフトウェア投資計画が前年比2割以上増加となっているように、企業の課題解決型のシステム投資増などが寄与したと考えられる。それに続く「紙・パルプ」では製品価格の値上げ、「宿泊・飲食サービス」では万博やインバウンドに伴う需要増などが貢献した可能性がある。
従って、次の四半期決算における業績見通しでは、こうした業種に関連する企業について売上高計画がどの程度上方修正されるかが注目されよう。
経常利益上方修正期待は「鉱・採石・砂利採取」「食料品」「金属製品」
続いて、9月短観の経常利益計画から上方修正が期待される業種を見通してみよう。結果を見ると、増益計画となる中で上方修正率が最も大きいのは「鉱・採石・砂利採取」となっている。これは、排ガスの浄化触媒やAIサーバー向けの銅箔などといった機能材料が好調であることが反映されたと推察される。
それに続くのが「食料品」である。背景には、値上げや好調な輸出が寄与していることが推察される。そして「金属製品」と「化学」については、こちらも鉱業と同様に半導体材料の好調さが上方修正の後ろ盾になっている可能性がある。
なお、「宿泊・飲食サービス」は売上高計画も上方修正となっていることから、万博やインバウンドに伴う需要増や値上げが寄与していることが予想される。
このように、次の四半期決算で経常利益見通しの上方修正が期待される業種としては、半導体材料の好調さが寄与する鉱業や金属製品、化学に加え、値上げや需要増が功奏する食料品や宿泊・飲食サービス関連業種等が指摘できる。
永濱 利廣
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

