時評『ウェルビーイングを実現するライフデザイン』

宮内 敏光

ライフデザインには学生時代より興味があり、社会人になってから自己流で作成し、毎年12月に1年を振り返り、修正しています。

当初は自分の80歳までのものでしたが、現在では自分と家族の100歳までのライフデザインになっています。ライフデザインとは経済的な資金計画だけでなく、仕事や学業、家庭、余暇など、生活にかかわる様々な面を含む総合的な人生設計であり、「輝かしい未来」と「健全な不安」を顕在化させるものです。

日記は過去を忘れさせてくれる効果があり、ライフデザインには明るい人生を想像させてくれる力があると考えています。また、生まれたかぎりは、人はいつか死を迎えます。ライフデザインは充実した人生を送るための指針ともなります。

ここ70年間で平均寿命は20年近くも延び、私たちの生活は大きく変わりました。61歳のトム・クルーズがスタントマンを使わずに青年のように飛び回る姿に感動し、78歳の吉永小百合さんの凛とした美しさは年齢を感じさせません。健康な人生は長くなり、そのためにライフデザインの重要性も増しています。

また、ウェルビーイングとは厚生労働省によると「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること」ですが、第一生命経済研究所では健康・お金・つながりの3つの資産を中心にライフデザインを行い、ウェルビーイングの実現を提案し続けています。私たちの調査では、ライフデザインをしている人のウェルビーイングが高いことが分かっています。

弊社は10月25日に「ウェルビーイングを実現するライフデザイン」という書籍を発刊しましたので、ご一読いただければ幸いです。

今年2023年は、コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻の継続、イスラエルとハマスとの衝突、世界的インフレ・物価高の伸展、異常気象の常態化、AIの目覚ましい進化等、私たちのライフデザインを変える出来事が多くありました。

私たちはその中で、自分を見つめ直し、新しいライフデザインを考え、自分にとってのウェルビーイングとは何かを考え始めています。

さて、私は今年の「厚生労働白書」の「つながり・支え合いのある地域共生社会」を読み、「つながり」の重要性を強く感じています。

そして「つながり」を通じてウェルビーイングを実現していくためには、コロナ禍等で弱まった「話す力」を高める行動が必要だと思っています。 

米メリーランド大学のコロナ禍前の研究結果によれば、男性は一日に7,000語、女性は約3倍の20,000語を話していたそうですが、私自身現在4,000語位しか話していないと思います。(妻は既に回復しています)

在宅勤務、マスクの着用、会話を最小限に抑えなければならない期間があり、相手を気遣う中で、「話す力」(話す時間や語彙数)が弱くなり、結果として、「つながり」が以前より弱く、少なくなっていると感じます。

自己開示をして話すことは、自分の気持ちを整理するだけでなく、相手への信頼や好意となり、「つながり」を深め、創るものです。

弱くなっている「話す力」を高め「つながり」を強くするライフデザインを実践、私たち各々が理想とするウェルビーイングが実現されることをこの年末に願っています。

宮内 敏光


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。