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よく分かる!経済のツボ『国際比較からみる日本のヘルスケアデータが抱える課題とは』

田村 洸樹

目次

日本の評価は23ヶ国中22位

OECDが発表した「ヘルスケアデータ活用基盤の整備状況調査」において、日本の評価は23ヶ国中22位でした(資料1)。日本が今後、改善に向けて注力すべき分野を評価基準23項目の達成状況からみてみましょう。

資料1 ヘルスケアデータ活用に向けた基盤整備状況のスコア
資料1 ヘルスケアデータ活用に向けた基盤整備状況のスコア

反映ラグのないデータ化が実現する仕組みづくりを

ヘルスケアデータ整備状況(資料1の横軸に対応)は、①DB化(国家規模)、②カバー率(全人口の80%以上カバー)、③反映ラグ(1週間以内のデータ化)、④統合度(患者ベースで結合可能)、⑤仕組化(定期的なデータ収集)、⑥活用度(定期的な研究目的での活用)、⑦標準化(スタンダードコードによる分類)、⑧電子化(電子記録から自動抽出)に分類されます。日本は、反映ラグ、統合度、仕組化、活用度で劣後しています(資料2)。

資料2 ヘルスケアデータの整備に関する日本のスコア
資料2 ヘルスケアデータの整備に関する日本のスコア

遠隔アクセス・外部共有を念頭にガバナンス構築を

ヘルスケアデータのガバナンスレベルに関する項目(資料1の縦軸に対応)は、①法的枠組(法律に基づく収集)、②責任者(責任者の設置)、③研修(データ研修の実施)、④ログ(アクセス管理・追跡可能)、⑤匿名化(分析前に匿名化)、⑥リスク検証(個人再特定リスクの検証)、⑦省庁間共有(政府・公共部門内で共有)、⑧NPO共有(非営利組織と共有)、⑨民間共有(研究・統計目的等)、⑩海外共有(海外NPO組織と共有)、⑪スタンダード(公開先に求める条件の標準化)、⑫遠隔アクセス(データセンター経由アクセス可)、⑬説明開示(詳細な説明を公開)、⑭法的根拠開示(法的枠組を公開)、⑮照会手順開示(照会する際の手順を公開)に分類されます。日本は、研修、リスク検証、省庁間・民間・海外共有、遠隔アクセス、法的根拠の開示で劣後しています(資料3)。

資料3 ヘルスケアデータのガバナンスに関する日本のスコア
資料3 ヘルスケアデータのガバナンスに関する日本のスコア

国際劣後している項目の底上げにまずは注力すべき

日本のヘルスケアデータが量・質の両面で国際水準を満たすためには、解決すべき課題・克服すべき弱点を特定し、限られたリソースを効果的・効率的に振り向ける戦略を立案する必要があります。日本が抱えるボトルネックを特定する際、OECDの調査結果が活用できるでしょう。

田村 洸樹


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。