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QOL向上の視点『健康と睡眠~みなさん眠れていますか~』

上代 実志

目次

ヒトは「日の出とともに起床して、日中活動し、日が沈むと休息をとる」。このような生活が生物としての本来の姿です。 しかし、現状では交代勤務や時差勤務、夜に活動して昼間に眠るなど、自然の環境とは異なったサイクルで生活する人も多くなってきました。このような生活環境は「体内時計」を狂わせてしまい、それが正常な睡眠をとれない人が増加していることの一因となっています。不眠症状は3人に1人、睡眠薬使用は20人に1人とまで言われています。 また、新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークが推奨されるようになりました。その結果、「日中の活動量が減って寝つきが悪くなった」、「スマホなどを見る時間が増えて夜更かししてしまう」、「朝起きられず、業務開始直前まで寝てしまう」など、睡眠に関連した悩みも多くなっているようです。

睡眠のメカニズム

睡眠は「恒常性維持機構」と「体内時計機構」の2つの機構によりコントロールされています。恒常性維持機構はホメオスタシスともいい、睡眠が不足していたり、長く起きていると眠くなるという「疲れたから眠る」という仕組みです。他方、体内時計機構は、いつもの就寝時刻になると、その日の疲れに関係なく「夜になると眠くなる」という仕組みです。

この2つの機構が、状況に応じて相互に関連しながら、睡眠の質・量およびタイミングを抑制しています。

体内時計と睡眠

人の脳の中にある「視交叉上核」が体内時計の働きをもっています。本来体内時計は、およそ25時間の周期ですが外部環境の24時間に同調させています。その同調因子としては光が最も重要で、朝の光によって体内時計をリセットし、そのズレを修正しています。光の入らない部屋で生活すると、起床時刻がおよそ1時間ずつ遅れ、あわせて就寝時刻も遅れていくことになります。

起床後に太陽光が目から入ると体内時計に時刻の情報として伝達され、朝の時報に体内時計を合わせることになります。こうしてリセットされた時刻から12~13時間は代謝が高められ、血圧・脈拍が高めに保持され活動に適した状態になります。

また、朝の光を浴びてから体内では14~16時間かけて「トリプトファン」という成分が「セロトニン」に変化し、最終的に睡眠ホルモンとも言われる「メラトニン」となります。脳の中にある松果体から「メラトニン」は分泌され、分泌が始まると、手足の抹消部からの放熱が盛んになります。この放熱により身体の内部や脳の温度(深部体温)が低下してくると、1~2時間後に自然な眠気が出てきます。

そのため、良い睡眠のためには、メラトニンのもととなるトリプトファンを多く含んだ食品(豆腐・卵・牛乳・バナナなど)を朝食に摂ることをお勧めします。

睡眠には、脳やからだの疲れを回復させたり、傷ついた全身の細胞を修復したりするなど、からだとこころのメンテナンスをする重要な働きがあります。そのため、睡眠不足や不眠は、生活習慣病やうつ病などを発症するリスクを高め、心身に変調をきたすことにつながってしまいます。

ご自身の生活を見直して、体内時計のリズムを整え、良質の睡眠から健康の維持・増進につなげていきましょう。

上代 実志


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。