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QOL向上の視点『ライフデザインのすすめ』

白水 朝日

「1946年に4コマ漫画でスタートした国民的アニメ「サザエさん」ですが、この時の登場人物は何歳でしょう。そう、波平はあの風貌で54歳です。」これは「TIME」セミナーの冒頭でお話しするセリフである。55歳以上の受講者の多くはここでまず苦笑い。 

続けて、「翌1947年に公表された第8回生命表によれば、この年の男性の平均寿命は50.06歳であり(女性は53.96歳)、波平は平均寿命以上の長寿者ということになります。今でいうなら80代半ばというところでしょうか。」そこで受講者はなんとなく納得するが複雑な表情。

もちろん、平均寿命は0歳の平均余命であり、乳幼児の死亡率が高かった当時の平均寿命と今のそれとは単純な比較はできないし、当時でも男性の18.5%・女性の29.0%は75歳まで生存した(2020年の75歳生存率は男性が76.1%・女性は88.4%、令和2年簡易生命表)。

当時の勤労者の定年年齢は多くの企業で55歳であり、一方厚生年金の支給開始年齢も55歳であった為、2世代・3世代同居も多かった当時の人は、万一の不安は感じても、「長生きへの不安」はさほど感じることなく過ごすことができたのではないかと思う。当時はそんな言葉すらも無かったかもしれない。

それから約75年、平均寿命は男女とも30年以上伸びた(男性81.64歳、女性87.74歳2020年)。一方でこの間の定年年齢の伸びは平均して10年足らずである。

「人生100年時代」と言われて5年あまり、最初は半信半疑だった人たちも次第に現実感を持ってこの言葉を受け止め始めている(年末に届く喪中はがきに書かれた亡くなられた方の年齢を見てそう感じる人も少なくないだろう)。それに伴い、より多くの人が長くなった老後への漠然とした不安(生きがい・お金・健康)を感じるようになっている。

2021年4月施行の改正・高年齢者雇用安定法では、事業主に70歳までの就業機会確保の努力義務を課した。しかしまだ65歳までの雇用が緒に就いたばかりで、企業も個人も更なる雇用の延長には現段階では戸惑いも大きい。

2021年12月の厚生労働省の発表によると、2019年の日本人の健康寿命は、男性が72.68歳で女性が75.38歳。若い時に比べ多少身体機能は衰えていても「健康でいる間は働きたい」と、考える人も多い。また「健康でいる間は働きたい」と「働いているから健康」は表裏一体でもある。無論その働き方はなにも「フルタイム」に限らない。たとえ収入は少なくても自分の居場所があり、仲間がいてその中で役割を担い、社会とのつながりを保ちながら、誰かに必要とされているという「生きがい」を持てれば様々な働き方があるのではないか。

これからは事業主も単純に「65歳以上」「70歳まで」の「雇用」に区切って制度を整備するのではなく、40~50代から70代以降に至るまでの様々なキャリアプランやライフプラン(ワークプラン)を提示できるような人事制度の設計に知恵を絞ることが従業員のモチベーション向上につながり、社会的にも評価されるのではないだろうか。また個人も敷かれたレールに乗るだけではなく、自ら考え選択したライフワークをできるだけ自分のペースで実践していくことが「幸せ」につながるのではないかと考える。       

私たちもセミナー等を通じてこのような取り組みの後押しや、お手伝いが出来れば幸いである。

白水 朝日


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