- 要旨
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- 日経平均株価は先行き12ヶ月54,000円程度で推移するだろう
- USD/JPYは先行き12ヶ月160円程度で推移するだろう
- 日銀は利上げを続け、政策金利は26年7月に1.0%、27年前半までに1.25%となろう
- FEDはFF金利を26年3月と6月に引き下げ3.25%とした後、様子見に転じるだろう
金融市場
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前営業日の米国市場は、S&P500が+0.2%、NASDAQが+0.3%で引け。VIXは15.1へと上昇。
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米金利はベア・スティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.298%(+1.6bp)へと上昇。
実質金利は1.855%(▲0.4bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+63.9bpへとプラス幅拡大。
- 為替(G10通貨)はUSDが軟調。USD/JPYは158近傍で推移。コモディティはWTI原油が59.5㌦(+0.4㌦)へ上昇。銅は13209.5㌦(+211.5㌦)へ上昇。金は4614.7㌦(+113.8㌦)へ上昇。
経済指標・注目点
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12月米雇用統計は労働市場の軟化が継続する中にも一定の底堅さがあることを示す結果であった。雇用の量的拡大は弱いものの、労働需給の崩れは回避されており、失業率は小幅に低下した。これを受けてFedの利下げ観測は後退。もっとも、景気の先行きに楽観的な見方が広がったことで株価は堅調に推移した。なお、司法省がパウエル議長の刑事訴追を示唆する大陪審への召喚状をFRBに送付したと伝わったが、それによって目先の金融政策に大きな変化が見込まれないこともあり、現在のところ金融市場の反応は限定的。
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雇用者数は前月比+5.0万人と市場予想(同+7.0万人)を僅かに下回ったうえ、過去分は同▲7.6万人と大きめの下方修正となった。3ヶ月平均値は同▲2.2万人、6ヶ月平均値は同+1.5万人となり、雇用の量的拡大は相変わらず風前の灯火とも言うべき状態にある。業種別にみると、小売が同▲2.5万人、建設が同▲1.1万人、製造業が同▲0.8万人、運輸・倉庫が同▲0.6万人と弱さが確認された反面、宿泊・飲食が同+4.7万人となったほか、教育・ヘルスケアが同+4.1万人、政府部門が同+1.3万人と増加した。雇用増が、景気に敏感でない政府(雇用の約15%を占める)と教育・ヘルスケア(同約17%)に支えられている点は、2025年入り後の傾向であり、数値の見た目ほど労働市場が強くないことを物語っている。なお、Fedも指摘するように雇用統計は過大推計の問題がある。統計で示される表面的な数値は微増であっても、実勢としては微減とみられる。

- 失業率は4.38%へと0.16%pt低下した。人種別にみると、過去数ヶ月に失業率の上昇に寄与していた黒人が7.5%へと0.7%pt低下し、白人、ヒスパニック系も小幅に低下、アジア系は横ばいであった。もっとも、失業率の水準は白人とアジア系対比で黒人とヒスパニックが高く、労働市場におけるK字型経済の深化を浮き彫りにしている。この間、失業者を広義の尺度で捉えて算出するU6失業率、すなわちフルタイムの職が見つからず止む無くパートタイム勤務に従事している人等を失業者と見なす基準では8.3%と上昇が一服した。
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平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.8%へと加速。瞬間風速を示す3ヶ月前比年率(3ヶ月平均)も+3.96%と方向感が上向きに転じつつある。もっとも、労働市場が全体として軟化するなか、転職活動の活発度合いを示す自発的離職率も低位で推移していることから判断すると、賃金インフレが加速するとは考えにくい。
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この間、週平均労働時間は34.2時間と、過去2年程度の平均的な値となった。この結果、民間部門の名目総賃金(就業者数×時給×労働時間)は4%台前半の増加基調を維持し、個人消費の源泉がなお底堅さを維持していることを示した。
- ここで、そもそも「なぜ雇用統計がそれほど重要なのか」という素朴な疑問を考えてみると、それは米国経済の約7割を占める個人消費の行方を読む上で、消費者の所得環境が重要であるからに他ならない。その点、速報性に優れた自動車販売台数が12月に1,602万台(年換算)と堅調に推移するなど、個人消費の基調が下方屈折する気配はなく安心感が持てる。資産価格の上昇を後ろ盾とする富裕層の高額消費は堅調とみられる。K字型経済においては、「雇用者数」や「失業率」といった雇用統計で示される代表的な尺度から読み取れる情報量は低下しているかもしれない。

- 12月雇用統計を受けて、FF金利先物から逆算した1月FOMC(28日)における利下げ確率は5%程度へと低下し、ほぼ完全に消失した。3月FOMCまで拡張しても29%であり、完全な利下げが織り込まれているのは7月FOMCとなった。筆者は向こう2ヶ月の労働市場指標が軟化を続けることを前提に3月の利下げ予想を維持するが、株価上昇が続くなど金融市場の楽観が続くようであるとFedが様子見に傾く公算が大きい。
藤代 宏一
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