- 要旨
-
-
日経平均株価は先行き12ヶ月54,000円程度で推移するだろう
-
USD/JPYは先行き12ヶ月160円程度で推移するだろう
-
日銀は利上げを続け、2026年後半に政策金利は1.0%に到達しよう
-
FEDはFF金利を26年前半までに3.5%へと引き下げ、その後は様子見に転じるだろう
-
金融市場
-
前営業日の米国市場は、S&P500が+0.3%、NASDAQが+0.2%で引け。VIXは16.1へと低下。
-
米金利はブル・スティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.253%(+1.0bp)へと上昇。
実質金利は1.790%(▲3.3bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+57.6bpへとプラス幅拡大。 -
為替(G10通貨)はUSDが全面安。USD/JPYは155前半へと上昇。コモディティはWTI原油が59.0㌦(+0.3㌦)へ上昇。銅は11487.5㌦(+342.5㌦)へ上昇。金は4199.3㌦(+12.7㌦)へ上昇。
経済指標・注目点
-
11月ADP雇用統計によると民間雇用者数は前月比▲3.2万人と市場予想(+1.0万人)に反して減少。3ヶ月平均値は同▲0.5万人、6ヶ月平均値は同+1.1万人となった。速報段階におけるADP雇用統計は必ずしもBLS雇用統計の先行指標として有用ではないが、労働市場の停滞を示す結果であった。
-
規模別にみると、雇用者数500人超の事業所が同+3.9万人と堅調さを示す一方、50人未満の事業所では同▲12.0万人の減少が観察された。雇用の弱さが中小企業に集中していることが示された形だが、一方でNFIB中小企業調査によれば、雇用計画は上向き、人件費計画は横ばいとなっており、ここから判断すると中小企業は必ずしも人員削減を急いでいないと言える。
- ただし、NFIB中小調査では「人手不足を指摘する企業の割合」はパンデミック期の急騰から正常化を通り越して低下基調にあり、この点は失業率の上昇を懸念させる。このように労働需給が緩む方向にあることを示すデータは多い。

-
Fedの金融政策に対して、今回の結果は12月FOMCにおける利下げをより正当化するものであった。実際、FF金利先物から逆算した12月の利下げ確率は95%程度まで高まっている。ADP雇用統計が発表される以前から12月の利下げは既定路線であったため、金融市場では(利下げ観測の高まりがリスク性資産をサポートすることなく)Bad News is Bad Newsとして処理されるかと思いきや、後述するISMサービス業が予想外に堅調だったため、株式は上昇、金利は小幅な低下で反応した。
-
11月ISMサービス業は52.6と市場予想(52.0)に反して10月から0.2pt改善した。ヘッドラインを構成する4つの項目は事業活動(54.3→54.5)と新規受注(56.2→52.9)が共に50超を維持。雇用(48.2→48.9)は50以下の領域で改善。サプライヤー納期(50.8→54.1)は長期化し、ヘッドライン押し上げに寄与。その他ではCPIやPCEデフレーターの先行指標として注目されている仕入価格指数が65.4へと4.6ptもの低下を示した。関税由来の費用増、安価な労働力である移民雇用者数の減少に伴う人件費増加といったインフレ要因は残存するものの、企業段階における物価上昇圧力は沈静化の方向にあると判断される。堅調なサービス業の業況はFedの利下げに疑問を呈する一方、落ち着きつつあるインフレ圧力は利上げを正当化する。

- こうした構図は、類似指標のサービス業PMIでも示された。ヘッドラインは54.1と速報値から0.9pt下方修正されたものの、事業活動(54.8→54.1)と新規受注(53.6→54.3)は共に50をはっきりと上回り、雇用(51.4→52.1)も底堅さを増した。インフレ関連項目では、販売価格が55.7へと1.7pt上昇したものの、大きくみれば低下基調にあり、CPIで示されるサービス価格(家賃とエネルギーを除く、いわゆるスーパーコア)の上昇率が鈍化していくことを示唆した。

-
現在の米国経済は、軟化する労働市場、底堅さを維持する企業景況感、落ち着くインフレ率といった具合に強弱区々であり、政府機関が閉鎖されて以降の金融市場は、長期金利が概ね横ばい、株価は上昇傾向にある。先行きは、年明け後に発表と伝わっている次期FRB議長の人選に注目が集まろう。現時点でハセット氏が有力候補であると伝わっているが、同氏は「あまりにもトランプ大統領寄り」との評価もある。大統領の意向をくみ取るように短期金利を強引に引き下げれば、インフレ再加速の懸念から予想物価上昇率が高まることで、長期金利が上昇(ツイスト・スティープ化)する可能性があろう。株式は短期金利の低下期待から上昇、或いは長期金利の上昇を嫌気して下落、インフレヘッジの手段として買われる、といった具合に様々な反応が考えられる。
-
ただし、ハセット氏の議長就任が確定事項かと言えば、全くそうではない。現時点で名前のあがっているボウマン副議長、ウォラー理事、ウォーシュ元FRB理事、或いはブラック・ロック幹部のリック・リーダーが指名される可能性は相応に高い。金融市場の「安定」という観点からは、政策態度がある程度判明しているウォラー理事やボウマン副議長が好感され易いように思える。
藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。









