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2025.12.02
米国経済
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米国 関税で製造業の回復に遅れ(11月ISM製造業)
~生産が拡大したものの新規受注、雇用が悪化し全体を押し下げ~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 25年11月のISM製造業景気指数(季節調整値)は、48.2(前月48.7)と市場予想中央値の49.0への上昇に反して前月比0.5%ポイント低下し、米製造業部門の縮小ペースの小幅加速が示された。国内需要に支えられながらも、関税賦課などトランプ政権の政策による不確実性の高まりやコストの上昇によって、拡大縮小の分岐点である50を9ヵ月連続で下回り、米国の製造業部門の緩やかな縮小の継続を示している。発表元によると、関税を巡る不透明感を背景とした需要縮小が続いており、この状況が好転する兆しは一切見られないと評価した。
- 11月の景気指数は、国内需要の拡大や低い在庫水準を背景に生産が拡大に転じたほか、在庫が減少幅を縮小した一方、新規受注、雇用が減少幅を拡大したことで、押し下げられた。仕入価格指数は上昇し、コスト増加圧力の強まりが示された。
- 11月に拡大した業種は、全18業種のうちコンピューター・電子機器、食品・飲料・タバコ、その他製造業、一般機械の4業種(前月6業種)に減少(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。主要6業種で拡大した業種は、コンピューター・電子機器、食品・飲料・タバコ、一般機械の3種と、前月の2業種から増加した。縮小した業種は、アパレル・皮革製品、木材製品、紙製品、繊維、加工金属、石油・石炭製品、化学製品、非鉄、家具・同関連、輸送機器、プラスチック・ゴム製品の11業種(前月12業種)に減少した。なお、一次金属、印刷・関連サポート活動、電気機器・電化製品・電気部品は変わらずとなった。
- 11月のISM製造業景気指数の構成項目別の動向をみると、前月比で、生産、在庫が上昇した一方、入荷遅延、新規受注、雇用が低下した。構成項目別の総合指数への寄与度では、生産が前月比+0.64%pt、在庫が前月比+0.62%ptの押し上げ寄与となったものの、入荷遅延が前月比▲0.98%pt、新規受注が前月比▲0.40%pt、雇用が前月比▲0.40%ptの押し下げ寄与となり、全体で▲0.5%ポイント低下した。また、水準では、生産が50を上回ったが、新規受注、入荷遅延、雇用、在庫が50を下回り、全体で縮小を示す水準にとどまった。
- 生産は、51.4(同48.2)と拡大を示す水準に上昇した。拡大した業種数が7業種(同4業種)に増加し、縮小した業種が5業種(同12業種)と大幅に減少した。ただし、新規受注、受注残が減少を示す水準にとどまっており、生産の脆弱な状況は変わっていないと判断される。また、在庫は、48.9(前月45.8)と上昇したが、50を下回っており、在庫の縮小ペース鈍化が示された。今後、生産の拡大に繋がる一方、コスト増の影響が反映され易くなる可能性が高い。
- 一方、入荷遅延は、49.3(同54.2)と低下し、サプライヤーへの納入が早まったことが示された。需要の弱さが影響したと考えられる。 また、新規受注は、47.4(前月49.4)と縮小を示す水準で低下し、需要縮小ペースの加速が示された。拡大した業種数は18業種中6業種(同4業種)と増加し、縮小は9業種(同11業種)に減少した。拡大した業種は、電気機器・電化製品・電気部品、コンピューター・電子機器、一般機械、その他製造業、食品・飲料・タバコ製品、一次金属の6業種。縮小は、木材製品、繊維、アパレル・皮革製品、紙製品、加工金属、石油・石炭製品、非鉄、輸送機器、化学製品の9業種となった(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。 さらに、雇用は、44.0(同46.0)と50を下回った水準で低下し、雇用の減少幅の拡大が示された。雇用の増加した業種数は18業種中2業種(同3業種)にとどまった。事業環境の不透明感の強まりを背景に、レイオフ、自然減、採用凍結を中心とした人員削減が継続されている。
- インフレの動向を示す仕入価格指数は、58.5(同58.0)と上昇し、コスト増加圧力の強まりを示した。11月に仕入価格の上昇を報告した12業種(前月14業種)は、アパレル・皮革製品、電気機器・電化製品・電気部品、一次金属、一般機械、木材製品、輸送機器、食品・飲料・タバコ、非鉄、加工金属、コンピューター・電子機器、その他製造業、化学製品。
- 今後の製造業部門の活動は、分野別関税で半導体、医薬品、重要鉱物等への関税賦課が予想され、不確実性が残存するものの、①主要な貿易相手国と通商協議で進展したため、対抗措置がほとんど行われずに相互関税の上乗せが実行されたこと、②国内需要が底堅く推移していること、③米中が10月末に中国のレアアースの輸出規制の1年先送り、米国の対中関税の10%引き下げ等で合意したこともあり、製造業景気指数は26年初に向けて拡大を示す水準を回復すると予想される。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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