11月ISM非製造業景気指数は予想以上に大幅低下したが

~ISM景気指数は引き続き米経済の秩序だった減速を示す~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年11月のISM非製造業景気指数(総合、季節調整値)は、52.1(前月56.0)と前月比3.9%ポイント低下し、市場予想中央値の55.7(筆者予想55.4)を下回った。ハリケーン襲来や港湾ストの影響の剥落によって入荷遅延が大幅に低下したほか、需要の鈍化を背景に活動指数、新規受注が低下した。ISM非製造業景気指数は、24年に変動が大きくなっているものの、均してみれば、22年をピークに非製造業部門が緩やかな減速傾向を辿っていることを示している。米国では、製造業部門の調整が長期化するなかで、非製造業部門の拡大ペースの緩やかな鈍化を背景に、秩序だった景気減速を続けている。
  • 11月の入荷遅延は、ハリケーン襲来、港湾ストの影響が剥落したことで大幅に低下した。一方、活動指数では、拡大した業種が18業種中14業種(前月9業種)に増加したほか、縮小した業種が2業種(同2業種)にとどまっており、非製造業活動は堅調さを維持している。また、新規受注では18業種中13業種(前月12業種)の拡大、3業種(同3業種)の縮小と、需要の拡大継続が示唆された。このようなもと、雇用では、18業種中5業種が増加した一方、5業種が減少した。空席を積極的に埋めている企業がある一方、採用の凍結や退職に伴う補充を行っていない企業などまちまちだった。11 月に雇用の増加を報告した5つの業種は、宿泊・飲食サービス、卸売業、その他サービス、建設業、運輸・倉庫。一方、雇用の減少を報告した5つの業種は、教育サービス、情報、公益、公的部門、専門・科学・技術サービスだった。
  • 11月に拡大した業種数は、18業種中14業種(前月14業種)と変わらずとなった。拡大した業種は、強い順に、宿泊・飲食サービス、芸術・娯楽・レクリエーション、医療・社会支援、卸売業、農林水産業、公的部門、金融・保険、企業向けサービス、小売業、運輸・倉庫、情報産業、専門・科学・技術サービス、建設業、公益と続いた(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。一方、縮小した業種は、鉱業、不動産・賃貸・リース業、教育サービスの3業種(前月2業種)に増加した。なお、その他サービスは変わらずとなった。
  • 米国経済全体の景気動向を示す「ISM総合景気指数(非製造業景気指数と製造業景気指数の合成)」は、11月に51.7(前月55.1)と低下し、拡大ペースの鈍化が示された。四半期では、10-12月期(10、11月平均)の製造業が47.5と7-9月期の47.1を上回ったほか、非製造業が54.1と7-9期の52.6を上回った。この結果、10-12期のISM総合景気指数は、53.4と7-9月期の52.0から上昇しており、10-12月期の米経済が減速しているものの堅調さを維持していることを示している。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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