株高不況 株高不況

2017年は大統領選通過後に景況感が上向いた

台湾が教えてくれる世界経済

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月42,000円程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう。
  • 日銀は12月に政策金利を0.50%に引き上げ、25年末までに1.0%への到達を見込む。
  • FEDはFF金利を25年末までに3.50%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
目次

金融市場

  • 前営業日の米国株は、S&P500が+0.0%、NASDAQが▲0.1%で引け。VIXは17.2へと上昇。
  • 米金利はカーブ全般で金利上昇。予想インフレ率(10年BEI)は2.362%(+1.1bp)へと上昇。 実質金利は2.054%(+0.5bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+9.1bpへとプラス幅縮小。
  • 為替(G10通貨)はUSDが全面高。USD/JPYは155半ばへと上昇。コモディティはWTI原油が68.9㌦(▲0.5㌦)へと低下。銅は9089.5㌦(+2.0㌦)へと上昇。金は2651.7㌦(+20.7㌦)へと上昇。

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注目点

  • 世界経済の先行指標として、筆者が定点観測する台湾の輸出受注は10月に前年比+4.9%(9月同+4.6%)へと伸び率拡大。輸出受注の約6割を占める電子製品と情報通信技術製品が双方とも増加した。情報通信技術製品は前年比+0.5%と僅かな増加に留まったものの、電子製品は同+11.2%と堅調。発表元の台湾経済部は10月の受注増加について「AIアプリや技術革新による半導体、サーバー、民生電子製品の需要増加が牽引した。またこれからは季節的に年末商戦が追い風になる」として「11月の輸出受注は前年比+4.7%~8.6%となる見込みである」と説明した。

  • 他方、10月の製造業PMIは50.2と低下傾向を辿っている。6月の53.2から4ヶ月連続で低下しており、50割れが目前に迫っている。AI向け半導体の爆発的需要はあってもPC、スマホ、自動車向けの需要が今一つ回復していないことが背景にあろう。もっとも、短期的には明るい兆候もある。1~3ヶ月先の生産活動を読む上で有用なPMIの新規・受注在庫バランスは54.0と高水準にあり、上述の台湾経済部のコメントと整合的な動きとなっている。中国向けの輸出が精彩を欠く一方、米国や日本向けは底堅さを維持するとみられる。台湾の鉱工業生産統計を用いて算出した出荷・在庫バランス(出荷と在庫の前年比伸び率の差分)は+2.6ptと下向きの軌道にあり、半導体市況(シリコンサイクル)のピークアウトを意識せざるを得ない波形となっているが、世界半導体売上高は9月に前年比+23.2%へと伸び率を高めており、市況が悪化に転じるまでには相当な距離がある。

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  • 反対に、ここから回復が期待されるのは米国の製造業指標。10月のISM製造業景況指数は46.5と失望的な数値となり製造業の苦境を浮き彫りにしたが、先行指標のNY連銀製造業景況指数は11月に+31.2と不可解なほど強く反発した。単月の振れが極端になっていることを踏まえ、3ヶ月平均値をとってみても+10.8と強い。ISM製造業のウェイトを用いてISMに換算した数値は単月が56.6、3ヶ月平均値でも52.2と何れの尺度でみてもISM製造業を大幅に上回る。

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  • ISM製造業景況指数は米景気の方向感を示す経済指標として有名。正確性という点においてはサンプル数の多い製造業PMIが優れているとの指摘も多いが、投資家の景気認識に少なからず影響を与える。製造業の景況感は既往のドル高に加え、政策不透明感が重荷となり生産・投資活動が手控えられ、冷え込んだ状態にあるが、2016-17年のように大統領選通過後に景況感が改善することも考えられる。今回も大型減税の実現性が高まっていることに加え、中国との経済的分断が深刻化するとの懸念からサプライチェーンを再構築する動きが加速する可能性は十分にある。そうであれば現在の米国株高は正当化され易い。

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藤代 宏一


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