- 要旨
-
-
日経平均株価は先行き12ヶ月42,000程度で推移するだろう。
-
USD/JPYは先行き12ヶ月145程度で推移するだろう。
-
日銀は12月に政策金利を0.50%に引き上げ、25年末までに1.0%への到達を見込む。
-
FEDはFF金利を25年末までに3.50%、26年末までに3.00%まで引き下げるだろう。
-
金融市場
-
前営業日の米国株は、S&P500が+0.3%、NASDAQが+0.3%で引け。VIXは19.8へと低下。
-
米金利はカーブ全般で金利上昇。予想インフレ率(10年BEI)は2.294%(+0.0bp)へと上昇。
実質金利は1.987%(+4.2bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+13.8bpへとプラス幅拡大。 -
為替(G10通貨)はJPYが最弱。USD/JPYは153前半へと上昇。コモディティはWTI原油が67.4㌦(▲4.4㌦)へと低下。銅は9541.5㌦(▲61.0㌦)へと低下。金は2742.9㌦(+2.0㌦)へと上昇。
注目点
-
衆院選も束の間、米大統領選が11月5日(開票速報は日本時間6日に本格化)に迫ってきた。もちろん、結果は蓋を開けてみなければ分からないが、各種調査はトランプ氏が僅かに優勢であることを示唆しており、また世論調査機関の米リアル- クリア- ポリティクスによれば7つの激戦州において全てトランプ氏が優勢となっている。金融市場参加者もトランプ氏の勝利を見込む向きが多い印象を受ける。以下、大統領選後に予想される金融市場の基本的な反応を整理する。
-
結論を先取りすると、トランプ氏が勝利の場合は株高、金利上昇、ドル高の組み合わせが基本となる。もちろん大統領選の直前にこうしたトランプ- トレードが加速し、大統領選後に「噂で買って事実で売る」展開も予想されるが、基本戦略は景気加速- インフレ加速を前提にしたものになるだろう。
-
拡張的な財政政策については民主- 共和に共通する政策態度であるが、トランプ大統領は関税、移民抑制を併せて掲げており、よりインフレ的と考えられる。関税は足もとで落ち着いている財価格を再び押し上げる公算が大きい。世界的なディスインフレ環境にあった、前回の大統領任期時に実施された対中関税引き上げは、人民元の切り下げに加え、サプライチェーン各社で関税が負担されたことによって消費者段階への波及は限定的であったが、今回は関税引き上げの規模- 範囲が前回を凌駕する他、コロナ期以降のインフレで企業の価格設定行動が積極化(マークアップ率上昇)していることから、関税がもたらすインフレ圧力が増大している可能性がある。市場参加者は、インフレ率再加速およびFedのタカ派傾斜に備えるだろう。こうして金利上昇、ドル高が促される。

-
移民抑制策についても、基本的には市場参加者に対して、インフレ圧力が増大するとの懸念を喚起するだろう。コロナ期において大量の早期退職が発生したことから、55歳以上の労働参加率が低下するなど顕著な労働力不足に見舞われ、それは極度の人手不足をもたらし賃金インフレの根源となった。そうした労働力不足を補ったのは大量の不法移民であり、現在も安価な労働力としてインフレ沈静化と景気拡大に貢献している。こうした文脈に基づくと、移民抑制策は安価な労働力の減少を通じてインフレに繋がる。ただし人口動態の変化が経済- 物価に与える波及経路はかなり複雑で実際にインフレに繋がるかは微妙。移民抑制策により総需要が増大しなくなれば、ディスインフレ的な結果となる可能性もある。たとえば住宅への需要が鈍化すれば、家賃が落ち着くなどしてインフレ率の下押しに寄与する。このように移民抑制策がインフレに直結するとは限らないが、初期反応としてはドル買い- 債券売り(ドル高- 金利上昇)がコンセンサス- トレードであろう。USD/JPYは10月31日の日銀金融政策決定会合で植田総裁がどれだけ利上げに前向きな姿勢を示すかにも依存するが、衆院選通過後の円安が更に加速する可能性に備えておきたい。
-
ただしもう少し長い目でみれば、ドル安の経路も考えられる。低金利政策を志向するトランプ大統領が、Fedに利下げを迫るなどして金融緩和的な政策を実施するよう圧力をかける姿は容易に想像がつく。選挙期間中に利下げを要請し、株高を促すことは民主党の追い風になりかねないため、現時点でトランプ氏はそうした発言を戦略的に自重しているとみられるが、大統領選に勝利すれば、株高を演出すべく急激に語気を強める可能性があるだろう。その場合、株高、金利低下、ドル安の圧力が生じるだろう。
藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。






