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政治と「金」融政策 10 月会合は様子見 衆院選で連立拡大なら円安加速からの利上げも

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月42,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月145程度で推移するだろう。
  • 日銀は12月に政策金利を0.50%に引き上げ、25年末までに1.0%への到達を見込む。
  • FEDはFF金利を25年末までに3.50%、26年末までに3.00%まで引き下げるだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株はまちまち。S&P500は▲0.0%、NASDAQは+0.2%で引け。VIXは18.2へと低下。

  • 米金利は中期ゾーンを中心に金利上昇。予想インフレ率(10年BEI)は2.337%(+1.9bp)へと上昇。
    実質金利は1.870%(▲0.7bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+17.3bpへとプラス幅拡大。

  • 為替(G10通貨)はJPYが最弱。USD/JPYは151前半へと上昇。コモディティはWTI原油が72.1㌦(+1.5㌦)へと上昇。銅は9583.0㌦(+24.0㌦)へと上昇。金は2744.2㌦(+21.1㌦)へと上昇。

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注目点

  • 10月31日の金融政策決定会合は金融政策の現状維持が予想される。足もとで円安がぶり返しているものの、USD/JPYは160円以下で推移しており、日銀は物価の基調を見極める「時間的余裕」がある。展望レポートの物価見通しは2025年、2026年にかけて2%程度で推移するとの仕上がりになるだろう。前回の展望レポート以降に発表されたマクロ指標は、個人消費に前向きな動きが観察されており、その点は日銀の見通しを支持している。

  • そうした中、俄かに話題となっているのは衆院選の行方。朝日新聞の調査によれば、自民単独はおろか与党系(自公)でも過半数獲得が微妙な情勢という。その場合の善後策として森山幹事長は連立の枠組み拡大があり得るとして、日本維新の会や国民民主党との連携を仄めかした。

  • ここで改めて日本維新の会、国民民主の政策スタンスを確認する。日本維新の会については「消費税のみならず所得税・法人税を減税する『フロー大減税』を断行し、簡素で公平な税制を実現します」と銘打ち、その具体策として「消費税を8%とし、軽減税率制度を廃止します」とある。一方、社会保障については「高齢者の医療費窓口負担を現行の『9割引』から原則『7割引』に見直し、現役世代と同じ負担割合とすることで、現役世代の社会保険料負担の軽減を図ります」とあり、この点において必ずしも(超)拡張的な路線ではないが、それでも景気浮揚に積極的な姿勢が窺える。金融政策については「維新八策2024」 に「中央銀行をもつ国家と地方自治体は異なることを前提に、経済回復と物価安定のバランスを考慮し、将来世代の負担と過度なインフレを招かない範囲で適正な財政出動・金融政策を行います」、 「日銀法を改正し、日銀の目的として物価の安定・雇用の最大化・名目経済成長率の持続的な上昇の3点を明記し、各々の目標達成について政府との協定締結を義務づけるとともに、役員の解任規定を新設することとします」とある。日銀に「景気」の責務も担わせようとする姿勢は、一般的に金融緩和の長期化に繋がると考えられる。

  • 国民民主党については「消費税を実質賃金が持続的にプラスになるまで一律5%に減税」、「トリガー条項の凍結解除、二重課税廃止によるガソリン代値下げ」、「再エネ賦課金の徴収停止による電気代値下げ」と政権公約にある。金融政策について具体的な記載はないが、玉木代表は従前よりあらゆる場で金融引き締めに反対の姿勢を示しており、過去2回の利上げに対しても異を唱えていた。このように「高圧経済」を政策理念に掲げている。

  • 仮に日本維新の会や国民民主党が合流するならば、市場参加者は現体制に比べてリフレ色が強まると判断するだろう。また与党系で過半数を獲得できたとしても、石破内閣の支持率が低迷する状況が続くようであれば、来年の参議院選を見据えて高市待望論が高まる公算が大きい。言わずもがな高市氏は金融緩和と財政出動に積極的な政策理念を掲げている。今回の衆院選で与党系が苦戦すれば、為替市場では上記が意識され円安が進むと思われる。

  • その上で金融政策をどう考えるか。教科書通りであれば政治からの圧力による「低金利の長期化」であるが、為替が急激に円安(例えば160円超)に振れ、輸入物価の上昇圧力が高まれば、日銀は利上げを選択せざるを得なくなり、結果的に政策金利が高くなる展開も想起される。やや長い目で見れば、春闘の行方などが重要になってくるが、2024年12月の金融政策会合(もしくは2025年1月会合)までに円安が加速すれば、利上げの可能性は一段と高まると判断される。

藤代 宏一


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