株高不況 株高不況

9月の利下げが完全に織り込まれる中、7月FOMC の意味は?

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月44,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月150程度で推移するだろう。
  • 日銀は7月に追加利上げを実施するだろう(政策金利は+0.25%)。
  • FEDは9月に利下げを開始、FF金利は25年末に4.00%(幅上限)への低下を見込む。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は下落。S&P500は▲0.8%、NASDAQは▲0.7%で引け。VIXは15.9へと上昇。

  • 米金利はベア・スティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.261%(▲0.3bp)へと低下。

実質金利は1.939%(+4.7bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は▲27.4bpへとマイナス幅縮小。

  • 為替(G10通貨)はUSDが全面高。USD/JPYは157前半へと上昇。コモディティはWTI原油が82.8㌦と横ばい。銅は9386.0㌦(▲249.0㌦)へと低下。金は2456.4㌦(▲3.5㌦)へと低下。

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経済指標

  • 7月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は+13.9へと6月から12.3pt上昇。出荷、新規受注が強く、ISM製造業景況指数のウェイトを用いてISM換算した数値は56.3へと急上昇した。7月の強さは何らかの要因で誇張されている可能性が高いものの、7月ISM製造業の回復を示唆した。

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注目点

  • 7月FOMCは政策金利の据え置きが予想されており、FF金利(誘導目標レンジ上限)は5.5%で据え置かれよう。FF金利先物が織り込んでいる利下げ確率は4.5%に過ぎず、金利据え置きは鉄板の予想と言える。

  • 市場関係者は9月FOMCにおける利下げ予想に自信を深めており、利下げ確率はほぼ100%に達している。CPI、PCEデフレータ、雇用統計、求人件数、失業保険申請(継続需給)件数など賃金・物価指標の大半がインフレ沈静化を示していることに加え、景気の先行指標であるISM景況指数(製造業・非製造業)が下向き基調にあり、そうした下でFed高官はハト派色を強めている。

  • 直近ではウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(17日にWSJが公表したインタビュー)が「インフレが目標の2%に持続的に向かっているとの確信を深めるため、さらに多くのデータを確認したい」としつつも「(直近3カ月のデータは」我々が求めているディスインフレ・トレンドに近づいている」として利下げの材料が揃いつつあるとの見解を示した。

  • また同日にはFedのウォーラー理事が「政策金利の引き下げが正当化される時期に近づいていると思う」とした上で、経済・金融政策について3つのシナリオを示した。楽観度合いの高い順に①このままインフレが鈍化し、「近い将来(in the not-too-distant future)」に利下げを実施。②全体としてインフレは鈍化するも、その速度が緩やかになり近い将来の利下げに不確実性が生じる(a rate cut in the near future is more uncertain≒時期は後ずれも利下げを実施)。③可能性は低いものの、2024年後半にインフレが再加速するというもの(利下げは見送り)、であった。これら3つのシナリオを示した上で、「最初の2つのシナリオが最も高い確率で発生すると信じている。政策金利を引き下げる時期が近づいている」として講演を締めくくった。なお、ここでいう「近い将来」は7月FOMCではないと推察される。というのも、もし7月FOMCを示しているなら、「次回FOMC」の意味を有する合言葉である「fairly Soon」が用いられるためだ。9月の利下げが広範に予想されている現状、ここでいう近い将来が9月を意味していると考えるのが自然だろう。筆者の解釈が正しければ、ウォーラー理事は9月の利下げに前向きであると思われる。

  • ここで「9月の利下げがほぼ完全に織り込まれているなら、いっそのこと7月FOMCで利下げをしてしまえば良いのでは?」という素朴な疑問がある。さすがに中央銀行の御作法として唐突な利下げは考えにくいが、今回のFOMCではハト派として知られるグールズビー・シカゴ連銀総裁(メスター・クリーブランド連銀前総裁の退任に伴い7月FOMCのみ投票権を有する)とデイリー・サンフランシスコ連銀総裁(投票権有)が利下げを提案する可能性が(ごくわずかであるが)あるだろう。それ自体はイールドカーブの手前を押し下げる効果がありそうだ。為替に対してはドル安圧力、株価はこのところのセクターローテーション次第(AI・テック売り、その他買い)であるが、上昇が期待される。

藤代 宏一


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