貿易統計(2024年3月)

~1-3月期の実質輸出は大きく減少~

大柴 千智

要旨
  • 3月の貿易統計(季節調整値)は、輸出金額が前月比+2.6%、輸入金額が同+3.9%、貿易収支は▲7,015億円の赤字となった。輸入は、紅海情勢の悪化による欧州-アジア間の物流混乱の影響を受けて1月に大きく落ち込んだあと、2月、3月は持ち直しが続いた。輸出は、前月までの中華圏の春節要因が剥落したことでアジア向けが反動増となり、前月比で増加した。3月は輸出、輸入も増加する中で、輸入が上回ったことで前月から赤字幅が拡大した。
  • 先行きは、世界経済の減速によって輸出の伸び悩む状況が続く中で、輸入については円安や原油価格上昇を反映して再び増加傾向に転じる可能性が高く、貿易収支は赤字拡大のリスクが強まっている。
  • 物価変動の影響を除いた実質輸出は、1-3月期は前期比▲3.2%と減少した。長らく低迷していた中国向けで持ち直しの動きがみられるものの、自動車減産の影響を受けた米国向け、欧州向けが下押しされた。自動車生産の正常化後も力強さは期待できず、輸出の牽引役不在の中で、4-6月期も世界経済の減速感が続くことにより、財輸出は回復感の欠ける動きが続くだろう。

図表を含めた詳細についてはPDFファイルをご覧ください。

大柴 千智


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大柴 千智

おおしば ちさと

経済調査部 副主任エコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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