株高不況 株高不況

フォワードガイダンスを維持した日銀 円安対応では動かない

藤代 宏一

目次

<日銀金融政策決定会合>

  • 日銀は大方の予想どおり主要な金融政策の現状維持を決定。かつて日銀の大規模金融緩和の持続性に懐疑的な見通しを示したことのあった高田委員も賛成票を投じ、全会一致で短期金利を▲0.1%、長期金利を0%程度に誘導するイールドカーブコントロールを継続するとした。他方、新型コロナ対応金融支援特別オペ、いわゆるコロナオペの段階的終了を決定。同制度を利用した(日銀の)貸出残高32.3兆円のうち、2022年4月以降に実行された額は3.5兆円(うちプロパー融資は8,500億円)まで減少していたため、中小企業向けの制度融資分は2022年末、プロパー融資分については2023年3月末を以って終了する(共通担保資金供給オペは存続)。

  • 事前にはコロナオペ終了の決定に伴って、下記のフォワードガイダンスが修正されるとの見方もあったが、変更は一切なく、政策金利の下方バイアスは維持された。もし日銀が日米金利差の拡大観測に歯止めをかける狙いを持っているならば、当該部分を修正・削除するはずであるが、それすらもしなかったということは、それだけ緩和継続に対するこだわりが強いということだろう。仮にUSD/JPYが150を付けたとしても、日銀の政策態度は大きく変化しないと思われる。

当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。

  • 日銀が緩和修正に動きだすとしたら、賃金上昇を伴った物価上昇が観察される時だろう。その点、筆者は毎月勤労統計に注目している。2022年1月以降の現金給付総額は前年比+1.0~+2.0%で推移し、直近値の7月は前年比+1.8%(共通事業所ベースでは+2.5%)と比較的高い伸びが実現し、所定内賃金も上昇基調にある。もちろん現時点では2020-21年に減少した反動の域を脱しておらず、物価上昇を加味した実質賃金はマイナス圏にあることから、日銀が満足するとは考えにくいが、2023年以降もこうした傾向が続くと日銀の姿勢が変化する可能性はある。

図表1
図表1

藤代 宏一


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