半導体頼みが続く(鉱工業生産)

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月30,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月113程度で推移するだろう。
  • 日銀は、現在のYCCを長期にわたって維持するだろう。
  • FEDは、2022年末までに資産購入を終了、23年後半に利上げを開始するだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国市場は上昇。NYダウは▲0.2%、S&P500は+0.4%、NASDAQは+0.9%で引け。VIXは16.20へと上昇。
  • 米金利カーブは中期ゾーンを中心に金利低下。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.368%(▲2.0bp)へと低下。5年先5年の予想インフレ率は2%台前半で安定推移。
  • 為替(G10通貨)はUSDが中位程度。USD/JPYは109後半で推移。コモディティはWTI原油が69.4㌦(+0.7㌦)へと上昇。金は1818.3㌦(+1.7㌦)へと上昇。

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経済指標

  • 7月米中古住宅販売成約指数は前月比▲1.8%と2ヶ月連続で減少し、市場予想(▲0.3%)を下回った。前年比では▲9.5%とマイナス圏にあり、ブーム的な住宅需要が2020年でピークアウトしたことを印象付けた。もっとも、現在の水準はパンデミック発生前をなお凌駕しており、住宅市場の強さは維持されている。

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注目ポイント

  • 日本の7月鉱工業生産は前月比▲1.5%と2ヶ月ぶりの減産。5月に▲6.5%の大幅減産、6月に+6.5%の大幅増産と大きく振れた後、7月は減産となった。生産の3ヶ月平均値は前月比▲0.6%と増産一服。7月の出荷は▲0.6%と減少、在庫も▲0.6%と減少した。

  • 先行きの生産を読むうえで有用な生産予測調査によれば、8月は+3.4%、9月は+1.0%と2ヶ月連続の増産が計画されている。経産省が独自にバイアスを補正した8月の予測値は+0.1%であった。仮にこの通りとなれば、横ばい圏の推移が続くことになる。ただし、この調査は8月上旬に実施されていることに注意。自動車大手各社はサプライチェーンの目詰まり(世界的な半導体不足、東南アジア地域におけるパーツ工場の操業停止)によって9月に大規模減産を強いられると報じられているが、調査時点で自動車の減産がどこまで反映されているかは不明。生産予測調査の輸送用機械は8月に▲7.3%の大幅減産となった後、9月は+3.1%の増産計画となっており齟齬が生じている。

  • 鉱工業全体の出荷と在庫の前年比差分をとった出荷・在庫バランスは+15.1%であった。在庫のマイナス基調が続くなか、出荷の前年比増加率が縮小したことで低下基調にある。出荷・在庫バランスの低下は「過剰在庫発生→減産」の予兆となることも多いが、現状は在庫が低水準に抑制されており、新規受注が生産増加に繋がりやすい状況と言える。実際、製造業PMIでは新規受注、生産が共に50超を維持している。

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  • 株式市場と関連の深い電子部品・デバイス工業に目を向けると、7月の生産は前月比+0.9%の増産であった。3ヶ月平均では+1.5%と7ヶ月連続の増産。5G、AI、IoTといったテーマの下、集積回路(IC)、固定コンデンサ、電子回路基板、水晶振動子、コネクタ等の生産が高水準で推移している。電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランス(3ヶ月平均)はプラス幅縮小も高水準を維持。製品需給は引き締まっており、当面は製品価格が上昇しやすく、同セクターの業績回復は顕著になろう。循環図の位置取りから判断しても、需要好調は当分の間続きそうだ。同じく株式市場との関連が深い半導体製造装置(←生産用機械工業に分類される)の生産は前月比+14.2%、3ヶ月平均で+5.3%となり、水準は過去のシリコンサイクルのピークを遥かに凌駕。グローバル半導体メーカーが能力増業投資を急ぐなか、製造装置分野で競争力を有する本邦企業への引き合いは強い。このように良くも悪くも半導体関連が全体の生産を牽引する構図が続いている(次項グラフあり)。

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藤代 宏一

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