【1分解説】プライマリーバランスとは?

平岡 一弘

  音声解説

プライマリーバランス(PB)とは、国・地方の歳出と歳入に関わる財政状態を示すもので、社会保障や公共事業をはじめとした様々な行政サービスを提供する政策的経費を税収等で賄えているかどうかを示す指標になります。日本のPBは赤字が続いており、不足分は毎年国債の発行等で賄っている状況です。

この国債残高はバブル経済崩壊後の1990年代から急激に増加しており、2023年度末現在1,068兆円が見込まれています。これは経済の長期低迷による歳入の停滞に加え。経済対策や社会保障関係費等の歳出が増大してきたことなどが影響しています。その残高規模は名目GDPの2倍近く、主要先進国で最も高い水準に達しています。

2024年度予算(案)が2024年1月16日に閣議決定し、一般会計歳出(国債費込)は112.5兆円となりました。歳入は税収等で69.6兆円と全体の6割強しか賄えておらず、不足分の大宗は公債金35.4兆円に依存しています。この一般会計予算でみるとPBは▲8.8兆円の赤字です。

このような状況の中、政府は「骨太方針2018」で揚げた財政健全化目標(2025年度に国・地方を合わせたPB黒字化を目指す)を堅持しています。しかし今後さらに進展する高齢化による社会保障費の増大、防衛力整備計画、異次元の少子化対策など、多額の予算を伴う課題が山積している状況です。

経済成長や歳入改革による税収増と、無駄を排した歳出改革の徹底等により、バランスのとれた財政運営が望まれます。

【参考資料】

  1. 財務省「令和6年度予算政府案」
    https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2024/seifuan2024/index.html
  2. 財務省(令和5年10月)「日本の財政関係資料」
  3. 財務省(令和5年10月)「財政を考える」

この解説は2024年1月時点の情報に基づいたものです。

平岡 一弘


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