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【1分解説】防衛装備移転三原則の見直しとは?

石附 賢実

  音声解説

「防衛装備移転三原則」(以下「三原則」)は、それまでの武器輸出三原則を冷戦後の安全保障環境に適合させるべく再整理したもので、2014年に閣議決定されました。昨今のウクライナ情勢や複雑化した安全保障環境を受け、同盟国・同志国への防衛装備移転の円滑化を図るべく、与党でその見直しの検討が進められています(2023年8月現在)。

実際には、「防衛装備移転三原則の運用指針」(以下「指針」)の解釈や見直しについて議論がなされているようです(資料)。殺傷能力のある装備の移転も現行指針で可能とする解釈や、「我が国の安全保障に資する」ものとしている移転の範囲を「被侵略国」などに拡大すること、指針に列挙されている5類型(救難、輸送、警戒、監視及び掃海)の見直しなどが取り沙汰されています。

私たちは、ロシアの力による現状変更の試みを目の当たりにして、「法の支配を守るためには武力が必要」であるという逆説的なリアリズムを突き付けられています。例えばウクライナに防空装備を提供すること、あるいはこのリアリズムの負担を同盟国や同志国と分かち合うことを是とするのか否か。現実から目を背けずに、建設的な議論が進むことを期待します。

資料 防衛装備移転三原則とその見直し議論
資料 防衛装備移転三原則とその見直し議論

この解説は2023年8月時点の情報に基づいたものです。

石附 賢実


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