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【1分解説】セキュリティ・クリアランスとは?

石附 賢実

  音声解説

セキュリティ・クリアランスとは、政府が保有する機密情報へのアクセス許可のために個人の適性を評価する制度です。主要先進国では既に導入されているなかで、日本では防衛・外交・テロ防止等の4分野についてのみ特定秘密保護法にて担保されているに過ぎず、対象者の97%が官とされます。クリアランス(許可)を持たない日本の研究者が国際共同研究に参加できないなどの弊害が生じており、他の主要先進国並みの、経済安全保障の重要性の高まりに対応した制度整備が急務となっています。政府は2024年の通常国会での関連法の制定を目指しています。

米国の制度では、情報を「トップシークレット」「シークレット」「コンフィデンシャル」に分類しています。日本の特定秘密保護法は、機密の度合いが特に高い前者2つには対応しているとされます。新たな制度において、現在は担保されていない「コンフィデンシャル」に相当する部分を含めて、どのような枠組みとなるのかが注目されています。

クリアランスは事業者及び個人に与えられることになります。特に個人のクリアランスについては身辺調査が実施されることとなりますので、プライバシーに十分に配慮した制度設計が必要となります。

資料 政府有識者会議で提示された情報の主な流れと管理・提供ルールのイメージ
資料 政府有識者会議で提示された情報の主な流れと管理・提供ルールのイメージ

この解説は2024年2月時点の情報に基づいたものです。

石附 賢実


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。