Side Mirror(2024年3月号)

佐久間 啓

2024年は4年に一度のオリンピックイヤー、閏年だ。閏年が何故4年に一度なのか、何故2月に調整するのか、そもそも何故2月は28日なのか…ご存じの方も多いと思うが、「4年に一度いつも調べるけど4年に一度だからついつい忘れてしまう」という方も多いようだ。筆者もその一人だが、今回はしっかり頭に残すよう頑張ってみたい。

4年に一度と言えば2024年は米国大統領選挙の年でもある。今年は米国に限らず、多くの国で大統領選挙、議会議員選挙が実施される。近隣国だけ見ても既に終わった台湾の総統選、議会選、2月のインドネシア大統領選、3月に一応ロシア大統領選、4月の韓国、4-5月インドの総選挙。地政学リスクの表面化、グローバルサウスの台頭というなかでその中心にいる国での選挙だ。選挙となれば勝つために“そんなことまで言う?!”というような政治的な発言等も出てくるリスクがある。注意が必要だ。

米国では各党の候補者を選ぶ予備選が始まっている。市場の注目はトランプ元大統領の動静だ。まだ予備選は始まったばかりであるが、ここまではいずれも圧勝と言っていい結果で3月のスーパーチューズデイを迎える。彼が事前の予想を覆して予備選を勝ち抜き、これまた事前の予想を覆して本選で勝利したのが2016年。この2016年は6月に英のEU離脱の国民投票で事前の予想を覆し離脱が多数となり市場が大きく動揺した事件もあり、英、米という民主主義大国で社会の“二極化”、“分断”が考えられていたよりも進んでいることが広く認識された年とも言える。

最近の調査で本選がバイデン対トランプとなった場合、ややトランプ有利との結果が多いが、まだまだ流動的だ。しかし市場では“もしトラ”時の頭の体操が始まっている。バイデン政権ではトランプ時代とは逆の政策も採用されているが“もしトラ”の場合そうした政策はどうなるのか。地政学リスクの高まりにどう対応するのか。市場では期待と不安、両方とも高まりつつある。

(佐久間 啓)

佐久間 啓


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