Side Mirror(2024年8月号)

佐久間 啓

3月号のこの欄で、2024年は米国大統領選挙に加え、台頭する“グローバルサウス”の中心的存在である、インド、インドネシアで総選挙、大統領選挙ほか、いくつか重要な選挙が行われる年だと書いた。その後、5月末には英国で議会の解散・総選挙が決まり、6月のEU議会選挙を受けて、仏マクロン大統領が議会の解散・総選挙と賭けに出たことで、2024年は想定以上の”選挙イヤー“になった。

米国では、注目のTV討論会の出来から、バイデン大統領には撤退論も出るほど逆風が吹く形になったものの、トランプ前大統領に追い風が吹いたかと言えばそうでもなく、世論調査では大きな動きはない。英国では14年ぶりの政権交代が既定路線だし、フランスでは与党中道勢力の支持低迷、極右勢力の台頭が顕著だ。

トランプ氏が大方の予想を覆し、過激な言動を変えないまま予備選を勝ち抜き、共和党の正式候補の位置を固めた2016年6月、市場の関心は、米大統領選の候補者選びより英国のEU離脱の是非を問う国民投票の行方だった。結果は僅差で離脱賛成多数。僅差で否定派が上回ると考えていた者が多く、一瞬市場はパニックに。すぐに冷静さを取り戻したものの、時代は確実に変わりつつあるという感覚は、市場から消えることはなかった。その後、トランプ氏は既存メディアの予想を覆し、大統領選挙を勝ち抜き、大統領に就任。キャンペーン期間中の公約を次々と実行に移していった。2016年は、先進国と言われる国で、中間層の減少、社会の分断が不可逆的に進んでいることが明確になった年と言えるだろう。

あれから8年。また、同じような舞台が用意されたようだ。トランプ氏は前代未聞の3度目の共和党大統領候補として本選挙に臨もうとしている。欧州では、政治的に歴史的な年になる可能性もある。問題は、2016年以降明確になった動きが、更に加速していくのか、いかないのか。米国大統領選挙は11月までの長丁場だ。まだ何が起きるかわからない。今年の舞台もしっかり見届けたい。

(佐久間 啓)

佐久間 啓


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