企業物価指数(2024年3月)

~先行きも電気・ガスの押し上げで上昇加速の見込み~

大柴 千智

要旨
  • 3月の国内企業物価は、前年比+0.8%、前月比+0.2%と事前予想通りの結果となった。多くの品目は価格転嫁の落ち着きにより前年比で緩やかな鈍化が進む一方、これまで国内企業物価を押し下げてきた電気・ガスの前年比マイナス幅の縮小が続いたことが企業物価を押し上げた。
  • 輸入物価指数は、契約通貨ベースで前年比▲6.9%、円ベースで前年比+1.4%となった。エネルギー要因のマイナス寄与が続く一方で、円安進行による為替要因のプラス寄与が拡大しており、為替変動を含む円ベースでは前年比プラスが続いた。今後はエネルギー要因の前年比下落ペースも鈍化することから、契約通貨ベースでも前年比マイナス幅の縮小が続く見込み。
  • 国内企業物価の先行きについては、再び前年比での上昇リスクが高まっている。来月以降は大手電力会社の企業向け電力の価格見直し(4月)、再エネ賦課金単価の大幅な引き上げ(5月)、政府による激変緩和政策の補助金支給額の縮小(6月)が次々と反映され、これらいずれもが電気・ガスの押し上げ要因となる。これによって、電気・ガスは足元の前年比▲19.1%から一段と縮小が進み、6月以降は前年比プラスへと転化する見込みであり、国内企業物価も同1%台後半まで上昇が再加速する可能性が高い。
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大柴 千智

おおしば ちさと

経済調査部 副主任エコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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