1.FOMC は無風通過想定 本番は議事要旨 2. グラフを突き破る勢いで増加 米家計所得

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月30,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月113程度で推移するだろう。
  • 日銀は、現在のYCCを長期にわたって維持するだろう。
  • FEDは、2022年前半に資産購入の減額を開始するだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株はやや軟調。NYダウは+0.0%、S&P500は▲0.0%、NASDAQは▲0.3%で引け。VIXは17.60へと低下。米指標は好調もFOMCとバイデン大統領の演説を控えて売り買い交錯。
  • 米金利カーブはベア・スティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.409%(+4.6bp)へと上昇。債券市場の実質金利は▲0.788%(+1.0bp)へと上昇。7年債入札を通過後に金利上昇。

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

  • 為替(G10通貨)はUSDが中位程度、JPYが最弱。USD/JPYは108後半へと上伸、EUR/USDは1.21近傍で一進一退。コモディティはWTI原油が62.9㌦(+1.0㌦)へと上昇し、銅は9855.5㌦(+104.5㌦)へと上昇。金は1778.0㌦(▲1.2㌦)へと低下した。景気の強さを反映する「銅」と安全資産「金」の相対価格は上昇。ビットコインは大幅反発。

経済指標

  • 米4月CB消費者信頼感指数は121.7へと上昇。パンデミック発生前の水準を概ね回復した。期待(108.3→109.8)が高水準を維持するなか、現況(110.1→139.6)が著しく改善。現金給付と経済活動正常化の相乗効果が見て取れる。失業率と連動性を有する雇用判断DIは+24.7へと急上昇。パンデミック発生前の水準には及ばないとはいえ、飲食・宿泊といった雇用吸収力の高い産業で経済活動正常化の動きが強まるなか、職探しの難易度は低下している可能性が高い。なお、4月30日に発表される3月の名目個人所得は前月比+20.0%と高い伸びが予想されている。予想中央値で延伸したグラフは以下のとおり。前年比では約+28%と空前の伸びが示される見込み。

CB消費者信頼感指数、米国 各目個人所得
CB消費者信頼感指数、米国 各目個人所得

CB消費者信頼感指数
CB消費者信頼感指数

CB消費者信頼感指数(雇用判断)
CB消費者信頼感指数(雇用判断)

米国 各目個人所得
米国 各目個人所得

米国 各目個人所得
米国 各目個人所得

注目ポイント

  • 今晩発表のFOMC結果は、政策金利・資産購入ペースともに現状維持が予想される。もっとも声明文の景気認識は消費、雇用に関連する部分が楽観的な方向に修正され、パウエル議長の記者会見では将来見通しのダウンサイドリスク低減について何らかの言及がありそうだ。ワクチン接種の進展が所期の効果を発揮している現状を踏まえ、3月FOMCに比べてハト派度合いが薄れるだろう。テーパリングに関しては、経済指標が十分に改善するまで現在のペースで資産購入を続ける、という基本スタンスを維持しながらも、どこかにテーパリングの意図がにじみ出てくるかもしれない。

  • テーパリングに関するより具体的なメッセージは、FOMCの3週間後に発表される議事要旨に盛り込まれる可能性が高い。3月FOMC議事要旨では、資産購入について、多くの参加者の意見として「経済指標が(予想ではなく)実績ベースで十分な改善を遂げるまでには、しばらく時間(some time)がかかる」としたうえで「資産購入ペースの変更(≒減額、テーパリング)は、それが正当化されるほどに経済が回復する、かなり前の段階(well in advance)で市場参加者とコミュニケーションをとることが重要である」との記載があった。その後発表された3月雇用統計やその他経済指標の鋭い改善を踏まえ、4月FOMC議事要旨では、一部参加者の意見として「十分前もって(well in advance)資産購入ペースの変更を金融市場に伝えるために、向こう数ヶ月のうちに議論を開始する必要がある」といった示唆的な表現が記載されても不思議ではない。なお、ブルームバーグが4月16‐21日に実施したエコノミストサーベイでは約6割のエコノミストが2021年4Qまでにテーパリングを公式に宣言するとの予想が示されていた。内訳は21年3Qが14%、4Qが45%、22年1Qが16%、2Qが10%、それ以降が14%であった。こうしたコンセンサスを前提にすれば、そろそろ「テーパリング示唆の示唆」のサインが出てくる頃ではないか。

藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。