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高画質画像生成AIの衝撃

~クリエイティブ領域を賑わす画像生成AIの光と影~

柏村 祐

目次

1. 画像生成AIの多方面での活用

画像生成AIの利用は、多様な産業に革新をもたらしている。

たとえば広告業界では、カスタマイズされた宣伝素材を迅速に作成することが可能となっており、異なるターゲット市場向けの広告ビジュアルを瞬時に生成することにより、消費者の反応を効率的に把握しやすくなっている。エンターテインメント分野では、映画やゲームのデザインや特殊効果の制作にAIを活用することで、クリエイティブなアイデアの具現化を加速し、コストと時間の削減を実現している。

また、医療分野では、AIを用いたCTスキャンやMRI画像の解析を通じて、画像診断の正確性を高め、医師の診療を支援している。教育分野でも、AIによって作成されたカスタマイズされた図表やイラストが、抽象的な概念を生徒にわかりやすく伝える手段となり、学習体験の向上に寄与している。

不動産業界では、仮想ツアーや3Dモデリングにより、物理的に現場に訪れることなく物件を体験できるようになっている。特に遠隔地の顧客にとって便利であり、これが市場拡大に貢献している。製造業においても、AIがプロトタイプ設計や製品ビジュアル化を通じて製品開発のスピードを上げ、市場投入までの時間短縮に寄与し、競争力の向上を実現している。

これらのように画像生成AIは多方面での活用が進んでいるが、本レポートでは、高画質画像生成AIの実力を改めて確認し、それがもたらす影響を詳しく探る。

2. 高画質画像生成AIの実力を探る

高画質画像生成AIの潜在能力を最大限に引き出すには、指示文の工夫が重要である。指示文はAIに対する要求を明確に伝えるもので、その構造が画像の出力品質に直結する。品質の高い画像を生成させるための基本構文は、「形容詞+名詞+動詞、描画スタイル」となる。この形式に従い具体的かつ明確な指示を行うことで、AIは期待通りの高品質な画像を生成することができる。

例として、人物や物体や動物の画像生成に関する実験を紹介する。

まず人物の画像を生成するために指示文として「japanese running person in forest, realism」とAIに入力したところ、瞬時に指示通りの森の中を走る人物の高品質画像が生成された(図表1)。この例では、AIが指定されたシーンを正確に認識し、現実味のある画像を生成したことが分かる。特に、森の中の環境や人物の動きがリアルに再現されている点が注目に値する。

図表1
図表1

次に、物体を生成するために「modern house near the sea, realism」という指示文を与えたところ、海辺のモダンな家の高画質な画像が生成された(図表2)。ここでは、AIがモダンな建築の特徴や海辺の景色を適切に捉え、現実的な画像を生み出している。特に、建築のディテールと周囲の自然環境の調和が見事に描かれている。

図表2
図表2

さらに、動物の画像を生成するために、高画質画像生成AIに「good looking french bulldog sleeping, wide-angle lens」という指示文を与えたところ、AIは瞬時に指示に従った高画質の画像を生成した(図表3)。この例では、AIがフレンチブルドッグの特徴をよく捉え、リアルな姿勢と表情で描いている。ワイドアングルレンズの効果も適切に表現されており、臨場感のある画像となっている。

図表3
図表3

以上の実験を通じ、高画質画像生成AIは指示文の内容を精密に解釈し、現実に即した画像を高い品質で生成できることが明らかになった。この能力は、実用的な観点からも非常に価値が高い。さらに、AIの進化により、より複雑で創造的な画像生成が可能になることも予想される。

3. 日常に溶け込む画像生成AIの未来

未来の社会では、画像生成AIの活用が日常の一部となることが予想される。この技術により誰もがプロのクリエイター並みの能力をもつことが可能となるであろう。従来、特殊なスキルとされていた画像生成技術も、AIの進化により一般に普及していく。画像生成の創造的なプロセスは、AIが基盤として提供するものとなり、人間はさらなるクリエイティブな判断やAIがまだ及んでいない創意工夫を加える協働作業を行うことになるであろう。

この変革は、画像制作のプロセス自体を根本から見直すきっかけとなる。画像制作に関する方法論やワークフローがAIの導入により変化し、個人や企業は生産性の向上を享受する時代が訪れる。広告制作、商品カタログの作成、ウェブサイトのデザインなど、かつては専門家に頼む必要があったタスクが、画像生成AIの普及により、効率的かつ低コストで実行されるようになるであろう。これは、ビジネスの新しいチャンスを生むと同時に、専門的な技術を必要とした領域が一般に開放されることを意味する。

さらに、画像生成AIの活用により、制作プロセスの枠を超えた新しいスタイルや表現方法の模索が促されることで、クリエイティブな分野での新たな試みを刺激し、新しいイノベーションの誕生に寄与する。

現在、教育の分野でも画像生成技術のカリキュラム導入が検討され、未来のクリエイティブ産業を担う人材の育成が重要となってきている。画像生成AIの進化は、社会全体のクリエイティブ活動に大きな影響を与え、新時代の到来を感じさせることになるであろう。

ただ一方で、著作権やオリジナリティなどの問題、さらに新たな倫理的課題が浮上する可能性がある。これらの問題への理解と対応が、社会全体で求められる。

4. 画像生成AIの進化が止まらない

近年、画像生成AIの進展は驚異的な速度で進行している。この技術の進歩は、コンピュータビジョンと機械学習の研究成果によってもたらされている。特に、深層学習アルゴリズムの発展や大量のデータセットの利用が、高品質な画像を生成するAIの開発を加速させている。Generative Adversarial Network (GAN)は、この分野の代表的な例である。GANは、生成器と識別器という2つのニューラルネットワークを用いてリアルな画像の生成を実現する。また、OpenAIが開発したDALL-Eも大きな注目を浴びている。DALL-Eはテキストの説明を基に画像を生成し、その性能は人間のクリエイティビティに迫るとされている。これらの技術の進展により、画像生成AIは広告、エンターテインメント、医療画像診断など多くの産業での利用が拡大している。今後もその進展は加速し、よりリアルで高解像度の画像が生成される可能性がある。

画像生成AIの多岐にわたる活用は、各産業の効率化やイノベーションの推進に大いに貢献している。しかし、技術の進化とともに、プライバシー、著作権、さらには倫理的な問題が浮上してくる。今後、画像生成AIが普及する世界において、これらの課題への対応が大きな課題となるだろう。

柏村 祐


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

柏村 祐

かしわむら たすく

ライフデザイン研究部 主席研究員
専⾨分野: テクノロジー、DX、イノベーション

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