【1分解説】イールドカーブ・コントロール(YCC)とは?

平岡 一弘

  音声解説

イールドカーブ・コントロール(YCC)は、日本銀行が2016年9月の金融政策決定会合で導入した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の政策枠組みの重要な要素で、従来からの短期金利のマイナス金利適用に加え、10年物国債金利が0%程度で推移するよう日銀が国債を買い入れ、長短金利全体をコントロールしていくことを指します。

いわゆるアベノミクス以降の日銀による金融市場調節は、

  • 2013年4月より「量的・質的金融緩和」が開始され、金融市場調節の主たる操作目標を無担保コールレート(金利)からマネタリーベース(資金量)に変更
  • 2016年1月より短期金利をマイナスとした「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」導入
  • 同年9月よりYCCの開始、という変遷があります。

引き続き2021年3月より10年物国債金利の変動幅を従来の0%程度から±0.25%程度とし、2022年12月±0.5%程度に拡大しました。さらに、2023年7月より変動幅の位置づけを「目途」として、長短金利操作を従来よりも柔軟に運用することを決定(実質的に長期金利1.0%までの上昇を容認)し、金利水準の修正を図っています。

この金融政策により、2023年3月末の国債残高1080兆円のうち576兆円を日本銀行が保有するに至っています。

今後どのようにこの金融政策を収束していくか、注視していく必要があると考えます。

この解説は2023年10月時点の情報に基づいたものです。

平岡 一弘


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