【1分解説】所得代替率とは?

平岡 一弘

  音声解説

所得代替率は、公的年金を標準的に受給し始める65歳時点のモデル年金額(額面)が、その時点の男性現役世代の平均手取り収入(賞与込)と比較して、どの位の割合かを示すものです。ここでのモデル年金は、夫が平均賃金で40年間働いたサラリーマン、妻が40年間第3号被保険者(専業主婦)である場合の世帯の年金を指します。政府が公的年金の相対的な水準を確認するために算出し、財政検証で公表しています。

2024年の財政検証では、2024年度の所得代替率は61.2%です。この時点の男性現役世代の平均的な手取り収入月額37.0万円に対し、モデル年金である夫・妻2名分の老齢基礎年金(月額13.4万円)と夫の老齢厚生年金(月額9.2万円)の合計月額22.6万円を比較したものです。

現在の公的年金制度では、給付水準の下限を所得代替率50%と定めています。財政検証によると、経済成長と労働参加がしっかり進む二つのケースでは2030年代後半で56.9~57.6%となります。逆に進まずに過去30年間と同程度の経済状況が続くケースでは2050年代後半で50.4%となる見通しです。

これは現役世代の収入に対する公的年金の給付水準が、良好なケースであっても給付水準の自動調整(マクロ経済スライド)によって低下することを示しており、将来年金での生活維持は現在より苦しくなるということになります。よって自助努力による老後資産形成は今まで以上に必要になると考えます。

この解説は2023年8月に公表した後、2024年8月時点の情報に基づき改訂したものです。

平岡 一弘


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