イベントカレンダー『各国の主要政治・経済イベント予定』(2025年7月号)

7月の各国主要政治・経済イベント

図表1
図表1

7月の政治・経済イベント「相互関税の適用開始」

7月9日以降、米国の相互関税が本格的に適用開始となる可能性があります。トランプ大統領は4月2日に相互関税(すべての国の輸入品に10%の関税を課すベースライン課税と、米国の貿易赤字の大きさによって各国に上乗せする追加関税で構成)を発表しました。その後、4月5日に10%のベースライン課税は発動しましたが、4月9日に各国への追加関税部分は90日間停止すると発表、今日に至るまで各国は米国との個別交渉を続けています。

各国の交渉状況をみると、5月8日に英国が合意(英国が牛肉等の米国産農産品に市場を開放、米国は自動車を年間10万台まで10%の低関税にする、鉄鋼・アルミ関税の引き上げ対象外とする等)、5月12日には、中国が関税の引き下げで合意(報復関税の応酬で上昇していた関税率を、互いに115%引き下げ)しています。執筆時点で、日本は合意に至っておらず、関税の引き下げではなく撤廃を求めて、協議を継続しています。

一方、足もとの米国内では、トランプ政権の強硬な関税政策を巡り、司法との対立が表面化しています。5月28日、米国際貿易裁判所は「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を根拠とした相互関税等の関税措置について、大統領権限を逸脱しているとして差し止め命令を出しました。これに対し政権側は直ちに上訴し、控訴裁判所(高裁に相当)は当面の関税維持を認める判断を下したものの、6月以降に本格的に審理される予定となっています。二審判決で決着がつかずに連邦最高裁にもつれ込んだ場合、関税を巡る訴訟が長期化するリスクがあります。7月9日以降の相互関税の本格的な発動を巡っては、外交・経済面だけでなく、米国内の司法と行政の対立という新たな不確実性も加わり、世界経済や市場の先行きに一層の警戒感が広がっています。

(主任エコノミスト:阿原健一郎)


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