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- マーケット見通し『厳選指標』(2023年7月号)
- 要旨
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このページでは筆者が注目する指標を四半期に一度解説します。金融市場参加者の中心的な関心は常に変化しますので、同一の指標を定点観測するものではありません。

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日経平均株価が5月以降に急上昇した背景としてはこの間に発表された決算が堅調だったことに加えて株主還元策が投資家の要求を満たしたことがあります。東証がPBR1倍割れの企業に対して資本効率の改善を要請し、それに企業が呼応した形です。また生成系AIの登場によって世界的に半導体が注目され、日本の半導体製造装置や半導体の部材、電子部品を手掛ける企業が再評価されたことも重要です。
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そこで日本の鉱工業生産に目を向けると半導体製造装置の躍進が一目瞭然です。日本は半導体そのものについてはかつての競争力を失ってしまいましたが、今も製造工程においては存在感を維持している模様です。
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今後の注目点としては、現在下向きにある半導体の市況がいつ上向きに転じるかです。直近の在庫データなどから判断すると生産は年内に底を打つ可能性があります。

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米国の消費者物価指数は総合が前年比+4.9%、食料とエネルギーを除いたコアが+5.5%です。エネルギー価格上昇に主導された2022年と異なり、コアの伸び率の方が高くなっているのが最近の特徴です。
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コア物価高止まりの背景にあるのは人手不足とそれに伴う労働コストの増加です。求人件数が歴史的高水準にあることからも明らかなように、米企業は著しい人手不足に直面しています。そこで平均時給に目を向けると5月は前月比+0.3%、前年比+4.3%とパンデミック発生前を大幅に上回っています。
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もっとも、賃金上昇率はここへ来て鈍化基調にあり、賃金インフレが終息しつつあることを示しています。これはインフレ退治を優先課題とするFRBにとって間違いなく朗報と言え、それは利上げ局面が終了に近いていることを意味します。この間、米景気は「緩やか」な減速を続け「急速」な景気後退を回避できています。
藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

