米国 内需堅調、高インフレ持続で利下げ観測後退 (24年1QGDP:1次推計、予測)

~金融環境の引き締まりの継続で米経済は減速しコアインフレ低下へ~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年1-3月期の実質GDP成長率(1次推計)は、純輸出の押し下げによって前期比年率+1.6%(前期同+3.4%)と市場予想の同+2.5%(筆者予想同+2.4%)を下回った。ただし、個人消費、住宅投資など民間国内需要は堅調さを維持したことから、ヘッドラインが示すほど米経済は減速していない。一方、インフレ統計では、PCEコアデフレーターが前期比年率+3.7%(同+2.0%)と大幅に加速し、インフレの再上昇懸念を強めた。FF先物は、利下げ観測は一段と後退し、2、10年国債利回りが上昇、株価は下落した。

  • 24年1-3月期のインフレ動向(前年同期比)をみると、PCEコアデフレーターが財主導で+2.9%(前期+3.2%)と低下した。コアインフレは、低下傾向を辿っているものの、足元で低下ペースが鈍化しているうえ、FRBの目標である+2%を依然大幅に上回っていることから、FRBは少なくとも5、6、7月のFOMCで政策金利を据え置くと見込まれる。

  • 今後の米経済では、所得の拡大ペース鈍化や金利の高止まりなどによる金融環境の引き締まりを受け、個人消費、住宅投資が緩やかに減速すると予想される。また、設備投資は政策の先行き不透明感等から緩やかな拡大を続けよう。このような国内需要の緩やかな減速を受けた輸入の増加ペース鈍化によって、純輸出のマイナス寄与が縮小し、経済成長を下支えすると予想される。

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桂畑 誠治


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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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