タカの極は5月だった可能性(FOMC 議事要旨) 9月FOMC を当てるゲームが始まった

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月125程度で推移するだろう。
  • 日銀は、現在のYCCを少なくとも2023年4月までは維持するだろう。
  • FEDは、2022年は毎FOMCで利上げを実施するだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。NYダウは+0.6%、S&P500は+0.9%、NASDAQは+1.5%で引け。VIXは28.4へと低下。
  • 米金利は中期ゾーンが金利低下。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.564%(▲1.1bp)へと低下し、22年入り後に上昇した大部分を打ち消している。実質金利は0.185%(+0.4bp)へと上昇。
  • 為替(G10)はUSDが堅調。USD/JPYは127前半へと上昇。コモディティはWTI原油が110.3㌦(+0.6㌦)へと上昇。銅は9373.0㌦(▲80.5㌦)へと低下。金は1846.3㌦(▲19.1㌦)へと低下。

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 イールドカーブ
米国 イールドカーブ

米国 イールドカーブ(前日差)
米国 イールドカーブ(前日差)

米国 予想インフレ率(10年BEI)
米国 予想インフレ率(10年BEI)

米国 実質金利(10年)
米国 実質金利(10年)

経済指標

  • 米4月耐久財受注は前月比+0.4%と2ヶ月連続増加。輸送用機器を除いたベースでも+0.3%と底堅かった。最重要項目のコア資本財受注(非国防資本財、除く航空機)は前月比+0.3%と増加基調を維持したが、前年比伸び率は鈍化傾向にある。

コア資本財受注・PMI
コア資本財受注・PMI

注目点

  • 5月FOMC議事要旨(5月3-4日)が公表された。大半の参加者の声として6・7月FOMCにおいて「50bpの利上げが適切になるだろう」との記載があり、3会合連続の50bp利上げ計画が示された。7月FOMCを以ってFF金利(誘導目標上限値)は2.0%に達する見込み。金融市場では一時75bp利上げを含む積極的な利上げが織り込まれ、年末までに3%近辺、2023年央に3.5%近辺まで利上げが進むとの予想に傾いていたが、5月中旬以降は住宅関連指標や製造業サーベイの落ち込みを受けて景気減速懸念が急速に高まるなか、株価下落もあって利上げ観測は後退。25日時点で年末時点のFF金利は2.75%であるとの見方が中心的になっている。またターミナルレート(利上げの天井)は3%を僅かに上回る程度の水準、そこへの到達時期は2023年央となっている。

市場参加者が織り込む利上げ
市場参加者が織り込む利上げ

  • 7月FOMCまでの利上げが既成事実化された現状、金融市場の焦点は9月FOMCにある。現在のFF金利先物は(6・7月FOMCの50bp利上げを経て)25bp換算で1.4回程度の利上げを想定した水準にあり、50bpと25bpで揺れ動いている。既に幾つかのデータが示唆しているとおりサプライチェーンの修復、労働供給量の回復などによって供給制約が和らぎ、インフレ鈍化の兆しがはっきりとしてくるのであれば、25bpの利上げが有力な選択肢になると予想される。もっとも、ここへ来て俄かに意識されつつあるのはボスティック・アトランタ連銀総裁が提示した利上げ「一時停止」の選択肢。現在のところ有力とはいえず、筆者の知る限りにおいてそれを予想する声はないが、今後、経済指標の悪化が続き、金融環境が一段と引き締まるのであれば、同総裁を含むハト派メンバーが利上げ一時停止を提唱する可能性はある。

  • 金融市場データをみて、Fedが景気のオーバーキルを懸念する素振りをみせるとしたら、株価急落よりも社債市場の崩落が有力だろう。クレジット市場が崩壊し、企業の資金調達が困難になれば、肝心の雇用最大化を脅かす恐れがある。現在の利回り格差(対国債)はハイ・イールド債(HY債)、投資適格債(IG債)が共に2018年後半と同程度にあり、当時Fedが利上げ停止を決断した水準に近づいている。今後、HY債の利回り格差が5.0%、あるいはIG債が1.5%を超えることがあれば、その際にFedハト派メンバーがどういった見解を示すか注目したい。

社債スプレッド
社債スプレッド

社債スプレッド
社債スプレッド

社債スプレッド
社債スプレッド

藤代 宏一

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