第13回 ライフデザインに関する調査

~後編(人口減少下での社会変化、家族、キャリアに対する意識ほか)~

ライフデザイン研究部

要旨

■ 人口減少下での社会変化に対する意識

  • 労働力不足の解消は、テクノロジーやAIへの期待が大きい。
  • 高齢期には働きたくない人は約6割。

■ 地域のつながりやコミュニティを大切にしたい人は半数。

  • 性別・年代別にみた社会変化への疲労感
  • 社会の変化が激しいことに疲れている人は、全年代5割以上。
  • 特に、女性の方が疲労を感じている。

■ なくなっては困る自分の居場所

  • なくなっては困る居場所に、「家庭」をあげる人は7割弱にのぼる。
  • 「地域」はなくなっても困らない人のほうが多いという結果に。
  • 職場や恋人・友人関係は約半数で意見が分かれる。

■ 祖父母による孫育て支援と子世代の意識

  • 孫育てを支援中の祖父母世代は約3割。
  • 祖父母世代の8割超が子の考えやライフスタイルを尊重。
  • 子世代の8割超が助けてもらえることはありがたいと感じている。

■ 仕事と家族関係をめぐる意識

  • 半数超が「夫婦が生活費を同程度に負担し、家事・育児・介護等の役割を平等に担う共働き家庭」を理想と回答。
  • 有配偶者の6割超が「配偶者の仕事にはできるだけ協力したい」と回答。

■ キャリア意識の男女差

  • キャリアアップへの意識は男性の方が高い傾向があるものの、
  • 組織への貢献意欲や成長意欲には男女差はなし。
  • 配偶者の収入が十分であれば働いていないとする女性もおよそ半数。

■ 参考資料

目次

背景

第一生命経済研究所では、人々の生活実態と意識の現状や変化を把握するため、1995〜2023年の間に「ライフデザインに関する調査」を計12回実施し、書籍『ライフデザイン白書』やレポートなどを通じて情報発信・提言を行ってきました。第1回調査から30年経過し、価値観の多様化や人口減少社会の進展に伴い、個人が自らの未来を柔軟に設計するライフデザインの必要性は一層高まっています。

そこで2025年は、ライフデザインに関する従来の定説を見直し、改めて今日のライフデザインのあり方を考えることを目的に、アンケート調査を実施しました。全国の18~69歳の10,000名を対象に行った本調査からは、世代毎の価値観の違いや、これまでみられなかった意識や行動変化が明らかになりました。本リリースではこの調査の速報結果(後編)についてお伝えします。

前編は「第13回 ライフデザインに関する調査~前編(世代別にみた幸福度、ライフデザイン教育機会ほか)~」をご覧ください。

調査概要

  • 調査名 :第13回 ライフデザインに関する調査

  • 調査対象:全国の18~69歳の男女10,000名

  • 調査時期:2025年3月18日(火)~20日(木)

  • 調査方法:インターネット調査(株式会社クロス・マーケティング)

人口減少下での社会変化に対する意識

図表
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日本の総人口は、2025年6月時点では1億2,336万人となっています。国立社会保障・人口問題研究所の直近の推計によれば、2040年には1億1,284万人(15年間で約1,100万人の減少)、2056年には1億人を下回ると予測されており、人口減少のスピードは加速していくと見込まれています。いよいよ本格化する人口減少社会を迎え、日本の社会や経済は、労働力不足や介護・医療の負担増加、都市部と過疎地域の課題、そして家族や個人の生き方の変化など、これまで経験したことのない多くの課題や困難に直面する可能性があります。

そうした社会変化に対する意識をみたところ、「労働力不足は、テクノロジーやAI(人工知能)でまかなう世の中となると思う」に「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答した合計割合は6割を超えていました。また、「高齢期には働きたくない」への回答割合も6割以上であり、高齢者雇用が促進されていますが、必ずしも高齢になってまで働き続けたいという人は多くないようです。

さらに、地域住民との交流の場は減ってきているなかでも、「地域のつながりやコミュニティを大切にしていきたい」と思う人は半数程度いました。

性別・年代別にみた社会変化への疲労感

図表
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人口減少や技術革新などに伴う社会変化に対して、疲労を感じている人も少なくないようです。「社会の変化が激しいことに疲れている」に「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答した合計割合は、どの年代でも5割以上となりました。年齢問わず、めまぐるしく変わる社会に何らかの疲労を感じている人が多いようです。性別では、女性の方が疲れている人が多い結果になりました。特に50~60代で男女差が顕著に広がっており、疲れている人の割合は女性の方が7~8ポイント多くなっています。

また、疲れていない人ほど、主観的な幸福度が高い傾向がみられました(図表省略)。幸せな生活を実現するためには、社会の変化に柔軟に対応できる環境づくりが必要なのかもしれません。そのためには、周囲の支えや新しいことに挑戦したいと思える風土を育むことが重要です。

なくなっては困る自分の居場所

図表
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人間関係の希薄化や個人化が進む現代社会で、人々はどのような場を自分の居場所として感じているのでしょうか。「自分の居場所として、なくなっては困る場」について、家庭・職場・地域・恋人や友人関係の観点から調査しました。

その結果、家庭がなくなっては困るという人が7割弱で最多となり、多くの人にとって家庭がなくなっては困る居場所だということがわかります。

次に、約半数で意見が分かれたのが「職場や学校」と「恋人・友人」です。転職が一般的になり、職場への帰属意識は以前より持ちにくくなっていると考えられますが、それでも半数の人が職場を「なくなっては困る居場所」としてあげています。

一方、地域については、自治会加入率の低下や近所付き合いの希薄化が指摘されるなかで、居場所として重要視する人は他の項目と比べて少ないことがわかりました。多くの人にとって、地域はなくなっても困らない、代替可能な存在だと認識されていることがわかります。

なお、男女別では、職場や地域についてはその差がみられませんでしたが、家庭を「なくなっては困る居場所」とする割合は女性の方が10ポイント以上多く、男女差が大きく開く結果となりました(図表省略)。  

祖父母による孫育て支援と子世代の意識

図表
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今回の調査では、小学生以下の孫がいる祖父母世代のうち、現在、孫育てを手伝っている人が約3割、余暇や休日を、子や孫と一緒に過ごすことがある人が6割弱となりました。一方で、子や孫との関係において子(孫の親)の考えやライフスタイルを尊重している、互いの生活の自立を重視していると答えた祖父母世代は8割超に達しています。これらの結果からは、現在、孫育てを手伝っているかどうかにかかわらず、祖父母世代が互いの生活の自立を重視しながらも、子世代の考えやライフスタイルを大切に考えている様子がうかがえます。

他方、小学生以下の子どもをもつ子世代の多くが、子育てを親(配偶者の親を含む)に助けてもらえることは、ありがたいことだと思うと答えていますが、子育てを親に頼り過ぎるのはよくないと思うと答えた人が6割超を占めるなど、子世代には頼りすぎることへの躊躇や問題意識を感じている人も多くなっています。忙しい祖父母世代が増えているなか、祖父母を頼れる状況であっても、子世代は相談の上で協力を得たり、感謝の気持ちを伝えることが重要になるでしょう。

仕事と家族関係をめぐる意識

図表
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図表5は、有職者の仕事と家族関係についての意識です。「夫婦の理想のあり方は、夫婦が生活費を同程度に負担し、家事・育児・介護等の役割を平等に担う共働き家庭だ」「生活費や、家事・育児・介護等をめぐる夫婦の役割分担の理想のあり方は、各家庭で異なる」に「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答した合計割合が、それぞれ54.1%、69.6%となっています。生活費や家庭役割等を全て対等に担う関係を理想とする人が半数超を占めますが、理想像は多様と考える人の方が上回りました。

このうち配偶者がいる人では、配偶者に「自分の仕事にできるだけ協力してほしい」「家事・育児・介護等の役割を果たしたうえで働いてほしい」とした人が半数前後を占め、仕事への協力や家庭役割を求める人が少なくないことがうかがえます。一方で、「配偶者の仕事には、できるだけ協力したい」と答えた人もこれらを上回っており、相手に協力や役割を求めるだけでなく、互いに協力し合うことの重要性を認識していることが示唆されます。

なお、「収入が少ないことや仕事をしていないことを、家族に申し訳ないと感じた経験がある」「家事・育児・介護等の責任を十分果たせていないと感じた経験がある」と答えた人も半数近くみられました。ライフコースが多様化し、おのおのの家庭役割を担いながら収入をともなう仕事をする人が増えているなか、家族に対する責任意識の感じ方にも、これまでとは異なる傾向が生まれているのかもしれません。

キャリア意識の男女差

図表
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図表6は、有職者に対し、自身のキャリアや仕事への意識についてたずねた結果です。全体として、今より高い「役職」や「技能・専門性を持ったエキスパート職」を目指す人は少なく、特に女性で少ない傾向があります。一方、仕事で「自分の能力を高めたい」「役立つ人材でありたい」と考える人は男女とも約4割おり、キャリアアップを望まなくても成長や貢献を重視している人は一定程度いることがわかります。

また、「配偶者の収入が十分なら働かない」との考えには男女差が大きく、特に年齢が上がるにつれて配偶者の収入にかかわらず働くという男性が増えます(図表省略)。これは、「男性は外で働き、女性は家庭を守るべき」といった性別役割の価値観が根強いことが背景の一つとして考えられます。こうした社会規範が職場にもあることが、「今の仕事は家庭や趣味と両立がしやすい」とする男女の回答差にも表れているのではないでしょうか。 

参考資料

1.日本の人口の推移

図表
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2.世代の定義

本調査では、世代を年齢に基づいて定義しました。詳細は下記の通りです。

図表
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【関連レポート】

(キャリア)

(教育)

(テクノロジー)


【担当研究員】

宮木 由貴子(みやき ゆきこ)

  • 常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員

  • 専門分野:ウェルビーイング、消費スタイル・消費者意識、コミュニケーション、モビリティ

西野 偉彦(にしの たけひこ)

  • ライフデザイン研究部・主任研究員

  • 専門分野:教育(子ども・若者の学校教育から社会人の学び直しまで)、Z世代やα世代の生活行動・価値観・社会参画

鄭 美沙(てい みさ)

  • ライフデザイン研究部・主任研究員

  • 専門分野:家族・ライフコース、金融リテラシー

福澤 涼子(ふくざわ りょうこ)

  • ライフデザイン研究部・副主任研究員

  • 専門分野:住まい(特にシェアハウス)、子育てネットワーク、居場所、ワーキングマザーの雇用

北村 安樹子(きたむら あきこ)

  • ライフデザイン研究部・副主任研究員

  • 専門分野:家族、ライフコース

ライフデザイン研究部


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。