【1分解説】家族信託とは?

城石 和秀

  音声解説

家族信託とは、不動産や金融資産などの資産の管理・処分を、信頼できる家族に託す財産管理の手法です。マスコミでもごく普通の名詞のように使われていますが、実は一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です。同協会によれば「家族の家族による家族のための信託(財産管理)」とされています。

基本的な仕組みは、対象となる財産の管理等を、委託者(所有者)が受益者のために受託者に託すというものです。家族信託を活用すれば、例えば財産を持つ老親が認知症になっても、予め受託者として定めていた家族に、財産管理を任せることができます。なお、この場合、通常は老親が委託者兼受益者となります。他では、事業の経営権を委託者の意中の人に移転できるなど、事業承継対策としても注目されています。

契約は口頭でも成り立ちますが、否認されたり、関係者間でトラブルになったりする懸念もありますので、弁護士などの専門家に相談のうえ、公正証書による契約書を作成するのが望ましいとされています。契約書作成に相応の費用がかかる点には、注意が必要です。

一部の家族だけで話を進めると、他の家族との間でトラブルの種にもなります。家族間で事前に十分な意思疎通を図ることが重要です。

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この解説は2023年10月時点の情報に基づいたものです。

城石 和秀


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