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Well-being QOLの視点『おひとりさま世帯の相続~自筆証書遺言書保管制度の活用~』

山本 玲子

2020年の国民生活基礎調査では、全世帯のうち単独世帯が最も多くなり、おひとりさま世帯が32.9%と約1/3を占めるようになりました。特に高齢者の単独世帯は年々増加傾向にあり65歳以上の世帯のうち31.8%が単独世帯となっています。

また生涯未婚率といわれる50歳時の未婚割合も増加傾向にあり、人生の最後を迎える時におひとりさま(単独世帯)である可能性が高まっています。

誰にも知られずに万が一のことがあった場合、気がかりな事の1つに、自身の資産を誰にどのように託すかという相続の問題があります。

ひとに残すほどの資産はないと思っている方も預貯金や住宅、親や親族からの相続で受け継いだ(または将来受け継ぐ可能性のある)資産、会社員の方は自社の持ち株や退職金など、将来を見据えて整理してみると時期によってはかなりの資産額になる可能性があります。

配偶者や子ども、両親・祖父母、兄弟姉妹など法定相続人になる方がいる場合は、法定相続人が相続するケースが通常は多いですが、法定相続人などの親族がいない場合は、何の手当てもしていないと故人の相続財産は国庫に入る可能性があります。そこで自身の資産を希望する形で託す方法として「遺言」があります。

遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がありますが、2020年7月から「自筆証書遺言書保管制度」が始まり、1通3900円で自筆の遺言書をデータ化して法務局が保管してくれるようになりました。この制度により、手軽に作成できる自筆証書遺言のデメリット「紛失・改ざん」「作成したけど遺族に発見されない」ということが防げるようになりました。さらに遺言者が希望すれば、本人が亡くなった後、遺言書があることをあらかじめ指定した方に通知してくれるサービスもあります。

図表1
図表1

現在登録されている遺言書は2023年12月末までに65,597件になり、年に1.7万件ほど申請されてきましたが、2023年10月からは通知する方を3人まで指定できるようになったこともあり、2023年は1.9万件と申請・登録件数も増加してきています。

図表2
図表2

「遺言書」があることによって法定相続人とならないパートナー、甥・姪、孫や子の配偶者、お世話になった方、母校など思い入れのある人・機関への遺贈など、相続で意思を実現させることができます。さらに「自筆証書遺言書保管制度」の活用により、低コストで遺言書の紛失・改ざん、形式不備で無効、意思が反映されないまま遺産分割される等を防ぐことができます。

事前の準備として信頼できる専門家やアドバイザーと相談することも重要なポイントです。

「遺言」なんて小説やドラマの中の話で、一般家庭には大げさな事だと思われるかもしれませんが、おひとりさま世帯に限らず将来に向けてご自身の想いを実現するために「遺言書」の作成を検討してみてはいかがでしょうか。

山本 玲子


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。