よく分かる!経済のツボ『太平洋島しょ国をめぐる国際情勢~債務のワナとは~』

角田 みなみ

目次

米国による太平洋パートナーシップ戦略とは

米国のバイデン政権は9月28日~29日、首都ワシントンにて米国・太平洋島しょ国首脳会合を開催しました。あわせて、太平洋島しょ国との関係強化をめざして、「太平洋パートナーシップ戦略」を発表しています。具体的には、太平洋島しょ国内の米国の公館を現在の6から9に増やすことや、外交官を増員すること等を掲げています。

なぜ太平洋島しょ国との関係強化が必要?

太平洋島しょ国は太平洋に浮かぶ、メラネシア・ポリネシア・ミクロネシアの3地域・14か国からなる島々を指します。小国ですが米国や日本が関係を重視する背景のひとつに、中国の島しょ国地域への接近があります。

中国は2022年10月現在、島しょ国14か国中10か国と国交がありますが、それ以外の4か国は台湾と国交を有し、立場が明確に分かれる格好となっています(資料1)。しかし近年は「一帯一路」構想のもと、中国があらゆる手段で島しょ国各国との関係を構築しようとしています。こうした状況を踏まえ、安全保障上の観点から、日本及び米国も島しょ国を重要な地域と捉え、さらなる関係強化に努めているのです。

図表1
図表1

中国の太平洋島しょ国への接近

近年、「債務の罠(ワナ)」という言葉をよく耳にします。これは主に開発途上国(債務国)が二国間の融資で国際援助を受けることで、債権国から政策や外交、インフラ運営などにおいて圧力を受ける状態に陥ることを指します。債務の返済能力がないことを承知で債権国が融資を斡旋するケースもあり、国際社会が目を光らせています。(資料2)

図表2
図表2

2022年4月にはソロモン諸島が中国と安全保障協定を締結し、大きな話題となりました。「太平洋・島サミット」(資料3)を1997年から長年開催してきた日本にとって、今まさに島しょ国との関係をさらに深めるべきタイミングに差し掛かっているといえるでしょう。

図表3
図表3

角田 みなみ


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