QOL向上の視点『心ときめくセカンドキャリアを見つけよう』

畑野 宏

昨年10月の緊急事態宣言全面解除以降、社会全体にもようやく活気が戻りつつあるが、ここへ来て、社員のキャリアコンサルティングを受ける機会が随分増えたように感じる。長引く巣ごもりの中で、自身と向き合う時間が増えたからであろうか。内容はと言えば、将来に向けたキャリア相談はもちろんのこと、子育てとの狭間におけるワークライフバランスのあり方、そして急増した在宅勤務固有の悩み等、相談は多岐にわたる。昭和入社の筆者にとって、この令和の時代のキャリア相談には毎回考えさせられるものがあり、日々勉強の連続である。今回はその中から、シニア層によく見られる事例を取り上げ、この時代に生きる彼らのキャリアのあり方について考えてみたいと思う。

昭和末期~平成初期に入社したこの世代は、年功序列・終身雇用の中で、かつての先輩を忠実に見習い、夢は昇格・昇給・豊かな生活と、まさに皆が同じ夢や同じ目標に向かって突き進んだ。これこそがマイキャリアと信じ、ここから外れることは挫折と感じる方も多かったと思う。しかし、この一本道を歩んできた戦士たちも、定年を直前に迎えると、かつて私がそうであったように、セカンドキャリアの展望が描けていないことにようやく気がつく。ここから新たなキャリアを形成しようとすると、それなりの意識改革と時間が必要となる。

この世代と対する時、私はいつも「あなたのワクワクする、ありたい姿は描けていますか?」と、最初に確認することにしている。予め決められたレールの上を走ることには慣れていても、自ら敷設して走ることには慣れていない彼らにとって、セカンドキャリアを描くという作業は、どうしても今まで歩んできた延長線上の世界にとらわれがちとなる。会社関係のつながり、慣れ親しんだ人脈を頼りにするのも良いが、まったく新しい世界を切り開き、新たな自身の可能性を発見することにも、ぜひ挑戦してほしいと思う。長らく我慢していた本当にやりたかったこと、反対に全く自分には縁がないと思い込んでいたことにも、あえて積極的にトライすることもお勧めしたい。多くのことを犠牲にして、社会や会社主体のキャリアに身を委ねてきた戦士たちにこそ、「ワクワクする真のありたい姿」を描いてほしいのである。

そのために、まずは自身の歩んできた道をゆっくり振り返り、その中から成功したことや失敗したこと、嬉しかったことや悲しかったことなどから、気付いた自身の価値観や強みを認識してもらう。そして、それらをさらにブラッシュアップしていくために、仕事以外の「第3の場」をつくり、様々なことにトライしながら、新しく学ぶ場や人脈を再構築することにチャレンジしてほしいと思う。ここで言う「第3の場」とは、仕事と家庭以外に自身が表現できる、大切にしたい居場所のことである。

副業や兼業、長らく遠ざかっていた趣味やリカレント、ボランティアや地域コミュニティ、SNSを活用した交流等、何でもよいと思う。その「第3の場」の中で、また新たに見つけた喜び、やりがい、価値観、人脈が、さらにワクワクするような「ありたい姿」へのヒントをもたらしてくれるであろう。すべてが不確実なこのVUCAの時代、「今がこうであるから、こうなることがきっと幸せだろう」という画一的な概念に縛られず、もっと自由に将来を思い描いていくことが、セカンドキャリアを考える上で、大切なことなのではないだろうか。

畑野 宏

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