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- 予測市場とは何か?(1)
本シリーズ「予測市場とは何か?」では、主に米国で急速に存在感を増す予測市場に関して、その功罪と今後の展開に焦点を充てる。
予測市場(Prediction market)とは、様々なイベントの結果を予測し、金銭的リターンを得るオンライン・プラットフォームである。その対象はプロスポーツの試合結果、各国の大統領・首長・議会選挙などの政治イベント、或いは音楽ランキングやアカデミー賞の受賞作品など多岐にわたる。The Blockの集計によると、主要プラットフォーム(Polymarket/Polymarket US/Kalshi)における月間の取引規模は2026年5月時点で253億ドル(約4兆円)に達する(資料1)。
予測市場が急拡大した背景として、「ユーザーへの高い訴求力」、「情報の有用性」、及び「次世代デジタルインフラの活用」が指摘できる。
まず、予測市場の取引対象は多岐に亘っており、ユーザーは自身の関心が強い、或いは知識を有するイベントの予測に参加できる。政治や芸能の知識を活用して、個人が金銭的な利益を得られる機会はこれまでほぼ存在しなかった。また、主要な予測市場の運営企業は取引仲介による少額の手数料を得るものの、自身は予測取引に参加しない。取引がオンラインで完結することもあり、参加者(勝者)に還元される割合は一般的なギャンブルと比べて高いとみられている。
次に、予測市場は「集合知」を反映しており、予測の精度と速報性に優れるとの見方がある。例えば、2024年米大統領選では主要メディアが接戦を報じた一方、予測市場は共和党・トランプ氏の勝利確率を高く見積もっていた。選挙結果の予想確率を巡っては、「時系列で定量的な推移を確認できること」や、「世論調査にはタイムラグがあるものの、予測市場は討論会などの内容がすぐに反映されること」が有用である。このため、予測市場のデータは取引参加者以外にも幅広く活用されており、例えばKalshiはCNNやCNBC、PolymarketはDow Jones(The Wall Street Journal等の発行元)といった主要メディアと連携している。
最後に、予測市場の拡大には新たな技術基盤の発展が貢献している。一部の予測市場ではブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、取引履歴の透明性を確保し、改ざんリスクの低減に繋げている。また、決済手段にステーブルコインなどの暗号資産を利用することで、国際的な資金移動の容易化や決済効率の向上を図っている例がある。

※ 本資料は情報提供を目的に作成されたものです。日本国内から予測市場で金銭を伴う取引を行うことは、賭博罪に抵触するおそれがありますのでご注意ください。
【参考文献】
- Diercks, Anthony M., Jared Dean Katz, and Jonathan H. Wright (2026). “Kalshi and the Rise of Macro Markets,” Finance and Economics Discussion Series 2026-010. Washington: Board of Governors of the Federal Reserve System,https://doi.org/10.17016/FEDS.2026.010.
前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

