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予測市場とは何か?(3)

~先物取引orギャンブル~

前田 和馬

本シリーズ「予測市場とは何か?」では、主に米国で急速に存在感を増す予測市場に関して、その功罪と今後の展開に焦点を充てる。


予測市場は「賭け市場」と呼ばれることもあり、ギャンブルの印象を与えやすい。一方、一部の予測市場は米商品先物取引委員会(CFTC)の管轄下にあり、金利先物や商品先物と同様、特定のイベントを対象とした金融商品(Event Contracts)と捉えることもできる。

実際、予測市場の対象には主要国の金融政策、原油価格、天候などが含まれ、こうした分野は既存の先物取引と類似性がある。また、予測市場は個人や中小企業でも参加が容易であり、参加者は取引を保険のように活用できるかもしれない。例えば、ホルムズ海峡の閉鎖が長期化する場合、原油製品の調達難によって生産停止を強いられる町工場を考える。この町工場は「X月まで航行が正常化しない」との取引を行えば、閉鎖長期化の際に一定の報酬を得られるため、収益への影響を軽減できる(注)。

一方、予測市場の一部取引(スポーツ等)は既存のギャンブルに近いとの見方がある。しかし、予測市場は各州のギャンブル規制を受けておらず、業界団体や州政府との対立が生じている。例えば、カジノ関連団体のアメリカ・ゲーミング協会(American Gaming Association)は予測市場の登場によって10億ドル以上の税収が失われたと主張し、同運営会社への規制強化を求めている。また、ミネソタ州ではスポーツ賭博が法的に認められておらず、5月に予測市場の利用を全面的に禁止する法律が成立した。これ以外にも複数の州が予測市場の運営会社を提訴しており、ギャンブル規制等の州法の適用を主張している。

こうした州政府の動きに対して、トランプ政権と予測市場の運営会社は強く反発している。連邦政府機関のCFTCは予測市場の監督権限を主張し、州の規制権限を排除するためにミネソタ州などを提訴した。なお、トランプ政権は予測市場や暗号資産の普及に前向きであり、(大統領の息子である)トランプ・ジュニア氏は大手予測市場の顧問を務めている。

予測市場は急拡大を続けているものの、この持続性はこうした法廷闘争の決着、或いは今後の規制スタンスに影響を受けるとみられる。

【注釈】

  • とはいえ、一定の発生確率が見込まれるイベントのリスクを完全にヘッジするのは困難だろう。仮に発生確率が50%のイベントリスクを回避しようとしても、取引額に対するリターンは2倍に留まる。

【参考文献】

  • Giangiulio. Davis (2026), “Gaming association says states have lost $1 billion in tax revenue due to prediction markets,” CNBC (May 28, 2026).

  • Giangiulio. Davis (2026), “CFTC sues Rhode Island over actions against prediction markets,” CNBC (May 28, 2026).

※ 本資料は情報提供を目的に作成されたものです。日本国内から予測市場で金銭を伴う取引を行うことは、賭博罪に抵触するおそれがありますのでご注意ください。

以 上

前田 和馬


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

前田 和馬

まえだ かずま

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 米国経済、世界経済、経済構造分析

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